いつからデータキャラがメガネをかけていると錯覚していた?
「くっそおおおおおおおおおお!」
ボロボロになった勇者が地団駄を踏む。
ダンジョン攻略に挑んだものの、敵があまりに強すぎてフルボッコにされてしまったのだ。
パーティーの仲間は教会に寄付をして生き返らせてもらった。それとは別に全滅ペナルティとして所持金も半分没収される。
「ちくせう……これで完全にすっからかんだ」
空になった財布を見てしょげ返る勇者。
仲間たちもしょぼんと眉をたらしている。
「今回のボスは手ごわかったな」
「だねぇ。まるでこっちの行動を先読みしてたみたい」
「ねぇ……もしかしてあのボス、予知能力持ちとかじゃないの?
なんかとっても戦いづらかったんだけど」
確かに。
パーティーメンバーたちの言う通り。
今回のボスはやけに弱点を的確について来た。
戦士が苦手なゴーストモンスターや僧侶が苦手な虫モンスターがやけに多く現れた。ダンジョン内はとても寒く、冷え性の魔法使いにとってつらい環境であった。
勇者はわき腹をくすぐられると笑いが止まらなくなる弱点があるのだが、今回のボスはやけにわき腹を集中的に攻撃してきた。
あまりにこちらの弱みを知りすぎている。
これはもしかすると――。
「敵の中にデータキャラがいる……かもしれないな」
「「「データキャラ⁉」」」
勇者は三人を見渡して頷く。
「ああ……聞いたことがあるんだ。
データを集めて敵の内情を探り、弱点を的確についてくる。
そういうことをする奴を総じてデータキャラと呼ぶらしい」
「しかし……データキャラだと?
魔王軍の中にそんなやつがいるのか?
いたとして、どう見分ければいい?」
「データキャラには特徴があるんだ」
「特徴?」
「ああ……」
勇者は不敵に笑う。
「データキャラは必ずメガネをかけているんだ」
◇
勇者たちはメガネキャラを探すために情報屋に金を払い、メガネをかけている魔王軍幹部の情報を集めた。
すると、割と近くのダンジョンにいかにも頭がよさそうなメガネをかけているボスがいることが判明した。
「なるほど、そいつが魔王軍のデータキャラだな。
俺たちを監視して情報を集めていたに違いない。
さっそく潰しに行こう」
「なぁ……ちょっと気が早くないか?
本当にそいつがデータキャラなのか?」
戦士が不安そうに尋ねる。
「間違いない。
データキャラはメガネをしているって相場が決まってるんだ」
「でもぉ、本当にその情報合ってるのぉ?
ちょっと心配だよぉー?」
僧侶も疑問に思っているようだ。
「いや、本当だって。
これはお約束ってやつでさ。
データキャラは確実にメガネをかけてるんだ」
「ねぇ……もしかしたら罠かもしれないわよ。
騙されてるんじゃないの?」
魔法使いが忠告する。
「だからさ、そういうもんなんだって。
メガネをかけていたら十中八九データキャラだ」
「それはお前の感想だろう?」
「なにかそういう統計あるのぉ?」
「アンタってホント、バカ!
ちゃんと根拠のある話をしなさいよ!」
「むむむ……」
皆から反論され次第に不安になる勇者。
データキャラがメガネをしている通説は確かによく耳にする。だが、その説を裏付けるエビデンスは存在しない。
そうである場合が多いだけの話。
「もう少し情報を集めてからの方がいいんじゃないかしら?
そのボスがデータキャラだって決めつけるのは危険だと思うわ」
「情報を集める……か。でも肝心の金が……」
魔法使いに言われて頭を抱える勇者。
情報を集めるには金がかかる。
データキャラの所在を突き止めるだけで大金を使ってしまった。
追加で情報を集めるにしても、また金を払わなければならない。
「お金ならなんとかなるよぅ。
みんなで一生けんめい働けばいいんだよぉ!」
「働くってなぁ……お前」
僧侶の提案に苦々しい表情を浮かべる勇者。
彼は働くのが嫌いであった。
大嫌いであった。
「なぁ……こういうのはどうだ?
俺たちが自前で情報を集めるんだ」
「え? 俺たちが?」
戦士の提案は意外であった。
「そうだ。
転職して盗賊になろう。
そうすりゃ情報を集めやすいだろ?」
「ううん……でもぉ」
「私もいい案だと思うわよ。
盗賊にも興味があったし、ちょうどいいわ!」
「みんなで盗賊に転職だぁ!」
「ええっ……」
三人ともノリノリである。
一人だけごねていても仕方がないので、勇者は同意することにした。
とりあえず神殿で転職を済ませる三人。
勇者は転職できないので、職業はそのまま。
こうして勇者一人に対して盗賊が三人というバランス無視のパーティーが誕生した。
「それでは早速データキャラとやらの情報を集めてやろう。
任せておけ、俺の得意分野だ」
「あらぁ、情報収集なら負けないよぉ」
「ふふふ。あなたたちに任せておけないわ」
「なんか転職すると性格が微妙に変わるよな」
微妙に性格までキャラ変した盗賊の三人。
それぞれ別々の方向へ散って、データキャラの情報を集め始めた。
(……みんなが戻って来るまで暇だな)
何もすることがなく手持無沙汰になった勇者は、待っているだけだと退屈なので、今まで戦った敵の情報をまとめて攻略本を作ることにした。
(おお……これけっこう楽しいぞ)
攻略本づくりに熱中する勇者。
ノリノリになった彼は挿絵を書きつつ、情報を詳細にまとめて行く。
「戻ったぞ」
「帰って来たよぉ」
「帰還したわ」
三人が帰って来た。
話を聞いてみると、とんでもないことが判明する。
「え⁉ データキャラだと思ってたメガネをかけているボスは、データキャラじゃなかっただって⁉」
驚愕する勇者。
なんと、いかにもインテリなメガネをかけたボスはデータキャラではなかった!
むしろ素手で戦うゴリゴリの脳筋だったらしい。
「くそぅ……すっかり騙されたな」
「いや、騙してはないと思うぞ。
データキャラだって決めつけてたの、お前一人だけだし」
「……うるせぇ」
敵の情報を得た勇者たちは、さっそく対策を立てて戦いを挑むことにした。
◇
「くくく……待っていたぞ、勇者たちよ」
ダンジョンの奥深くまで進んだ勇者一行は、メガネをかけたいかにもデータキャラっぽい見た目のボスと対峙した。
確かに話に聞いていた通り。
メガネをかけてほっそりとした体形でスーツ姿のそのボスは、どこからどう見てもデータキャラっぽいい見た目をしていた。
これで脳筋とか、明らかに見た目詐欺である。
「我はこのダンジョンのボス。
貴様らごとき、ひねりつぶしてやるわ!」
「よし! 作戦通りに行くぞ!」
勇者は一人前にでて、仲間たちを後ろへ下がらせる。
「防御力上昇魔法!」
僧侶に転職しなおした仲間が勇者に防御力上昇のバフをかける。
「防御力上昇魔法!」
僧侶に転職しなおした仲間が勇者に防御力上昇のバフをかける。
「防御力上昇魔法!」
僧侶に転職しなおした(略
「あーっはっは!
これで俺の身体はカッチカチだ!
カッチカチやぞ!」
「……なん……だと?」
予想外の行動にボスは狼狽を隠せない。
「お前の行動パターンはすでにお見通しなんだよ。
いっけんインテリ系の魔法とか罠とかで戦うタイプに見えるけどよぉ、その実、バッキバキの近接戦闘タイプなんだよな?
だから……防御を固めれば完封できるってわけだぁ!」
「くっ! そんな……バカな!
この私の真の力を見抜いていたというのか?!
信じられん!」
ボスは恐れおののき後ずさる。
勇者が一歩ずつ距離を詰めていくにつれ、彼の顔は恐怖に引きつっていった。
「へへへ……何から何までお見通しだよ、この野郎!
覚悟しやがれええええええええええ!」
「ひいいいいいいいいいいいいいいい!」
防御力を高めまくった勇者は、近接攻撃以外の攻撃手段を持たないボスを一方的にボコボコにした。
「うへぇ……参りました」
「あーっはっは! これが俺たちの力だぁ!
さぁて、次のダンジョンへ行くぞ!
事前に情報を集めればどんな奴らもイチコロだ!
それじゃぁ神殿へ行ってまた盗賊に転職してくれ!」
「「「おおー!」」」
圧倒的な勝利を収めた勇者はさらに情報収集に力を入れることにした。
盗賊に転職した仲間を各地に派遣。
収集した情報は勇者がノートにまとめ、徹底的に分析。
活動を続けること3年。
魔王軍の主要な者たちの情報を収集し、ダンジョンを次々に攻略していく。
事前に収集した情報があればどんな敵も簡単に倒せる。
これが……これが情報の力!
「いよいよ、次は魔王が相手だ。
みんな準備はいいか?」
「我、本日の調子は絶好調なり。
悪の根源たる魔王を絶対征伐ですぞ~!」
「私ぃ。実は天使の生まれ変わりなんですぅ」
「ひゃっはーーーーー!
どんな敵も私の魔法と筋肉でイチコロよぉ!
汚物は撲殺してやるわぁ!」
転職しまくって性格が変わりまくった結果、三人ともよく分からない性格になってしまった。
まぁ……仕方あるまい。
「ふははははは! 待っていたぞ勇者よ!」
「でたなぁ!」
ついに魔王が登場した。
満を持して最終決戦に臨む一同。
しかし――
「え? あっ……がは! なんで⁉」
勇者は魔王に手も足も出ず、一方的にボコボコにされてしまった。
三人の仲間たちはすでに死亡し、棺桶の中。
残されたのは勇者一人。
「くはははは! 俺に勝てるはずがないだろう!
出直して来い! この軟弱者がぁ!」
「ぐわああああああああああ!」
勇者は魔王からコブラツイストとバックドロップとキンニクバスターを極められ、徹底的にボコボコにされた。
それはもう心が折れるくらいにフルボッコにされた。
「これにこりたら、田舎で畑でも耕して呑気に余生を送るといいぞ!
あーっはっはっは!」
微妙に優しい魔王の高笑いを聞きながら、勇者は意識を失った。
「うーん……ここは?」
目を覚ました先は教会。
敗北した勇者一行の死体は棺桶に納められ、雑に転がされていた。
「くそ……このままではだめだ。
対策を練らないと。
対策、対策、対策――」
親指の爪を噛みながらブツブツと独り言をつぶやく勇者。
対策を練ったところで、魔王には勝てそうにない。
強すぎて全く歯が立たなかった。
どうすれば勝てる?
どうすれば倒せる?
どうすれば――あっ!
その時、勇者に電流走る。
「これだ! この方法なら――あいつを倒せる!」
勇者は勝利を確信した。
◇
「魔王! 今日こそ決着をつけてやる!」
「ふはははは! 待っていたぞ勇者よ!」
魔王の間に勇者一行が訪れる。
戦いが始まるやいなや、勇者たちは強化魔法によってステータスをアップ。
やれやれまたこのパターンかと肩をすくめる魔王。
すかさずステータス強化無効化技(必中&全体)を使って出鼻をくじく。
勇者一行が慌てふためいているうちに攻撃魔法(必中&全体&無属性)で大打撃を与えつつ、毒や麻痺や混乱を同時に付与する必殺技で反撃を封じる。
ステータス異常の回復に手間取っている勇者たちをしり目に、悠々と攻撃力アップの魔法を使って一人ずつ連続行動×連続攻撃で仕留めて行く。
「ぐっ……無念!」
「ふははははは! 残念だったな勇者よ!
寂れた漁村で魚釣りでもして質素に暮らせ!」
「くくく……俺たちを倒したところで、第二第三の勇者パーティーがお前を倒しにくるだろうよ」
「世迷言を……」
どこかで聞いたような負け惜しみの文句を聞き流し、部下たちに死体が納められた棺桶を教会に送り届けさせて玉座に着く魔王。
今回も完封だったが、どうも落ち着かない。
喉に魚の小骨がつっかえたようなもどかしさを感じる。
この胸騒ぎはなんだ?
「たのもおおおおおおおおおお!」
先ほど倒したモノたちとは別に、新たな勇者一行が魔王の間へなだれ込んで来た。
「え⁉ また勇者?!
なんで⁉ いま倒したばっかりだよ!」
「そんなの知るか! 俺たちと戦ぇ!」
先ほど第二第三の勇者が現れると聞かされたが、それにしても登場が早すぎる。
魔王が状況を飲みこむ間もなく敵が襲い掛かってきた。
「いくぞ魔王! うおおおおおおおおお!」
「くそっ! なんなんだよ!」
襲ってきた勇者たちを華麗に撃破する魔王。
決着がつくまでに30分もかからなかった。
「ハァ……ハァ……倒したぞ!」
「くそっ……無念! だが俺を倒しても……」
「第二第三の勇者が現れるというのか?」
「ククク。第二第三なんてもんじゃねぇよ。
第四第五……いや、第十六くらいまで来ているぞ」
「……なん……だと?」
驚愕する魔王。
悪い冗談だと思っていたのだが――
「魔王おおおおおおおおお!」
「私と戦ええええええええ!」
「ぶっ殺してやる!」
次々と魔王の間へ雪崩こんでくる勇者たち。
あまりに数が多くてめまいがする。
「くそったれがあああああ!
死にさらせや雑魚どもおおおおおお!」
次々に現れる勇者を無双する魔王。
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
殺到する敵を倒しまくる。
気づけば勇者とその仲間たちの死体の山で部屋が埋め尽くされていた。
これでは棺桶がいくつあっても足りない。
「いっ……いったい何が起きているんだ⁉
どうしてこんなに沢山の勇者が?!」
「くっくっく。無様だなぁ、魔王」
新たな勇者が現れた。
しかし……他の雑魚とは明らかに雰囲気が違う。
「なに者だ⁉」
「ただの勇者だよ。
この前、お前にボコボコにされた勇者さ。
覚えてないか?」
勇者なんて星の数ほど見て来た。
いちいち一人ずつ顔を覚えてなんていられない。
「お前のことなど知らん! 誰だ?!」
「名乗るほどの勇者じゃないよ。
ただ……他の勇者とは違う点が一つあってな。
これを見ろよ」
勇者は一冊の冊子を取り出す。
「なんだそれは?!」
「俺が作った攻略本だよ。
魔王軍の攻略法が詳細に書かれている。
これを他の勇者に配りまくったんだ。
結果、魔王の間までたどり着ける勇者パーティーが大量に現れたってわけさ」
「お前の……お前の仕業だったのかー!」
驚愕する魔王を見つめながら、不気味に口端を釣り上げる勇者。
「ああ……俺の仕業だ。
全て俺が仕組んだ。
お前を倒すためになぁ!」
勇者の背後から三人の仲間が現れる。
なんの職業なのか分からないが、とっても強そうな三人だった。
「ぐっ! 卑怯だぞ!」
「くっくっく……情報を制する者が勝利するんだ!
お前のことも調べさせてもらったからな!
今までの戦いぜーんぶ観察したから、攻略方法もばっちりだぁ!」
「そんな……」
手の内を完全に明かされてしまった魔王に、もはや勝ち目はない。
こんな戦術をとる勇者なんて今まで一人もいなかった。
いや……話には聞いたことがある。
こいつは――
「まさかお前、データキャラか?!」
データキャラとは、敵の情報を収集し優位に戦いを進めるキャラクターの総称。
弱点を探って相手の嫌がることをするような嫌らしい連中のことだ。
「ふふふ、そうかもしれないな」
「なぁ一つだけ教えてくれ!
どうして……どうしてなんだ?!」
魔王にはどうしても確かめておきたいことがあった。
「どうしてデータキャラなのにメガネをかけていない⁉」
勇者はニヤリとほほ笑んで答える。
「いつからデータキャラがメガネをかけていると錯覚していた?」
◇
こうして見事に魔王を撃破した勇者は王都へ凱旋。
勝利を王様に報告する。
「よくぞ戻った、勇者よ。
この度の働き、誠にご苦労であった。
魔王を倒した褒美としてなんでも好きな物を一つくれてやろう。
なんでも申してみろ」
四人並んで王様に謁見する一同。
勇者だけが顔を上げる。
「それでは王様。
どうかこの俺に領地をいただけませんか?
できれば辺境の国はずれにある州をお願いしたく」
「ふむ……領地なら別に構わんが……なぜ辺境なのだ?
おぬしほどの武勲をたてた者であれば、もっと良い土地を与えてもいいと思うが?」
「辺境くらいがちょうどいいのですよ」
勇者はどや顔で答える。
王様は一体なんだコイツ? と怪訝そうな顔をしたが、魔王を倒した英雄であることに違いはないので、言われたとおりに辺境の地を与えることにした。
「それでは希望の通り。
この国一番の田舎である、国はずれ州を与える」
「ははぁ! ありがたき幸せ!」
深々と頭を下げる勇者。
王様ほか大臣たちは不可解な申し出に首をかしげる。
いったいなんで辺境の地などを……。
◇
「みんなご苦労だったな。
これから与えられた領地へ行くぞ」
「なぁ……なんで辺境の地なんて希望したんだ?
まさか本当に畑耕したり、魚釣りがしたいわけじゃないよな?」
領地へ向かう道すがら、ようやく元の職業に落ち着いた戦士が勇者に問う。
大の労働嫌いの勇者が真面目に農夫や漁師なんてできるはずがない。
仲間たちの誰もがそう思っている。
「ふっふっふ。安心しろよ。
ちゃんと考えての上だ」
「もしかして国はずれ州になにかあるのぉ⁉」
宝の地図を手に入れたとかぁ⁉」
僧侶が興奮気味に尋ねる。
「分かってないなぁ。
宝なんてなくても、これから作ればいいんだよ」
「はぁ? あんた何を言ってるの?」
唖然とした表情を浮かべる魔法使い。
他の二人も怪訝そうに眉を寄せる。
「俺たちが行くのはほとんど人のいないド田舎だ。
一から開拓すれば得られる利益を全て独占できるぞ!」
「私たちだけで⁉ 無理に決まってるでしょ⁉
バカじゃないのアンタ! バカじゃないの!」
「落ち着けって、魔法使いちゃん。
俺に良い考えがあるんだ」
勇者はとっておきのプランを三人に語って聞かせる。
「まず、国はずれ州に向かう途中にある町で大量に人を雇って街を作らせるんだ。
大工に農夫に商人に……あと踊り子とかいるといいよな。
バニーガールの遊び人ちゃんとかぁ、かわいい女の子も沢山つれていって……うへへへへ」
「人なんてどうやって雇うのぉ⁉
お金なんて全然ないよ⁉」
パーティーの所持金を管理している僧侶が叫ぶ。
「ああ、金なら大丈夫だ。
これまた途中にあるカジノで増やすから。
競馬にスロットにバカラ……あと闘技場もある。
金なんて無限に増やせるぞ」
「バカを言うな! ギャンブルで金を増やすだと⁉
寝言も大概にしておけ!
賭け事で金が増えるはずがないだろ!」
大声を上げる戦士。
隣で頷く女子二人。
顔を青ざめさせる三人を前に、勇者は自信たっぷりに笑みを浮かべる。
「大丈夫。データがあれば絶対に勝てる」
最後までお読みくださりありがとうございました。