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え、家族じゃないんですよね?  作者: はる
本編
4/37

心配しないで

今朝、学校へ向かうと友人の1人で一番仲が良い多祐名嘉たゆなか 裕也ゆうやが俺の顔をみてギョッとしていた。


「お、おい緋月。お前大丈夫か?顔色やばいぞ?」

「え?」


そう言われた俺はトイレに行って自分の顔を確認した。そこには仕事で疲れきっている時の父さんのような顔をしている俺がいた。


「はは、確かに酷い顔だな…」


家にいるとしんどい。だが学校は唯一気が休まる場所だ。雅さんは大学生で高校には居ないし杏寿菜さんは女子高だからこの高校には居ない。ここは俺にとっての安息地的なものだ。


「はぁ…どうしたらあの2人と仲良く…」


仲良くなる必要あるのか?あんな人間と。…いや違う。違うだろ。仲良くなるんだ。あの2人だってきっとまだ気が許せないだけなんだ。きっとそんなんだ。


「だ、大丈夫か?」


俺のことが心配だったのか裕也がトイレまで来て俺に声をかけてくれた。


「あぁ、大丈夫だ。心配すんな」


俺は笑顔でそう言った。なんか最近こういう笑顔多いような気がするな。まぁ笑えないよりいいんだろうけど。


昼休み、教室で弁当を開いてつついているとどこか慌てた様子の柚木が声をかけてきた。


「緋月!だ、大丈夫なの?!」

「うおっ!ゆ、柚木?どうしたんだ?」


かなり焦っているように思える。一体どうしたと言うのだろう。


「裕也君から緋月の顔色がヤバいって聞いて急いできたの!」


裕也のやつ、余計なこと言いやがって…


「いやまぁ大丈夫だよ。なんともないから」

「…ねぇ、言ったじゃん。私たちは幼馴染だって。なんでも相談してって言ったよね。それとも私じゃ力不足?」


そういう意味じゃないんだけどなぁ…ただ俺は人に心配をかけたくないんだ。心配するのはしんどいし何よりその人を見ていて辛くなる。あの時の父さんのように。


「…いや、そんなことないよ。柚木、聞いてくれるか?」

「うん!任せてよ!」


やはり柚木は可愛らしく笑いながらそう言った。


「前柚木に言われたように俺から積極的に話しかけたんだ」

「うん」

「それでも距離は縮まらなかった。現状維持、もしくは離れてる」

「うん」


柚木は前みたいに聞いてるのか聞いてないのか分からない様子ではなく真剣に聞いてくれている。


「俺もうどうすればいいかも分からなくてさ」


情けない話だ。こんなことで人を頼っている自分が情けなくて仕方ない。


「…何かきっかけがあれば変わるかもね」

「きっかけ?」

「うん。例えば買い物に一緒に行くとか、一緒に料理を作るとか」


確かにそんなきっかけがあれば話ができるかもしれない。だがそんなきっかけはきっとやってこない。向こうがそのきっかけを潰すだろうから。


「…うん。そうだな。そうしてみるよ。相談に乗ってくれてありがとな」

「ううん。今度からはちゃんと私に遠慮せずに相談してね?」

「あぁ。また困ったら相談させてもらうよ」


俺は笑顔でそう言った。あ、またこの顔だ。なんかもう癖になってるな。柚木にこんな顔したこと無かったんだけどな…まいったな。


柚木を騙せている間になんとかしないと。もし騙せなくなったら怒られるだろうな。いや、それ以上にあいつに心配させてしまう。それは…嫌だなぁ。


…もう少し頑張るか。


家に帰りいつも通りの仕事を終わらせる。今日は早く終わったな。その証拠にまだ誰も家に帰ってきていない。


「ふぅ…家に誰も居なかったら家でも落ち着けるな」


そう言いながら俺はソファーに腰を下ろした。あれ?なんだか視界がボヤけて…最近疲れて…た…


「…何寝てんのよ」


-------------------------------------------------------

「緋月君、緋月君起きて〜。もうすぐご飯出来るわよ」

「…ん、ん?」


俺は誰かに呼ばれたような気がしてぼんやりと目を覚ました。しょぼしょぼする目を何度か開いて閉じてようやく目の前がクリアになっていく。そして目の前にいたのはとてつもない美人…優子さん?!


「あ、あれ?俺寝て…」

「気持ちよさそうに寝てたわよ」


優子さんがくすくすと笑いながらスマホの画面を見せてきた。そこには俺の寝顔が写っていた。


「え!い、いつの間に…け、消してくださいよ?」

「誰が息子の寝顔を消すもんですか!これは一生残しておきます!」


優子さんはそう言って胸を張った。なんだか優子さんって子供っぽいところがあるよな。そんなことを思いながら立ち上がるとパサ、と音を立てながら何かが落ちた。


「なんだ?」


それを見るとタオルケットだった。


「あ、すいません。かけてもらって…」


恐らく優子さんが寝ている俺にかけてくれたのだろうと思いそう言うと


「ん?なんのこと?私が来る前からかかってたわよ?」

「え?」


じゃあ誰がかけてくれたんだ?父さんか?いや、でも父さんはまだ帰ってきてないはずだ。あの姉妹の内のどっちか…いや無いな。絶対に無い。


既にリビングに来て机に座っている姉妹をそっと見る。そこで雅さんと目が合ったような気がしたが雅さんら直ぐに違う方向を向いてしまった。うん、絶対にあの2人では無いな。本当に誰なんだろうか…

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公が何を考えてるかよく解んないんだけど。周りにこれだけ心配させてもまだ頑張るって、主人公を駆り立ててるものは何? 最後のは雅のツンデレへの伏線かなにか? 姉妹よりこの主人公の性格か頭が…
[一言] これでこの姉妹がヒロインです言われたら作者の感性を少し疑うぐらいひどいな
[一言] 何寝てんのよか 誰のせいで主人公こんなんなってるか分かってる? お前らが必要以上に嫌うからやで? 布団かけたんどっちかやとしてもまだないわー
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