表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
え、家族じゃないんですよね?  作者: はる
番外編
37/37

思い通り

私は裕福な家庭で育った。望めばなんでも叶うし言うことを聞いてくれる。だから全てが手に入ることが当たり前だと思っていた。


家を出てからはお世辞にも裕福だとは言えない暮らしをしたが、愛すべき人を見つけた私はそんなことどうでもよかった。この暮らしを続けることができるのならお金なんて要らない。


私とあの人の間に子供が出来た。名前は雅と杏寿菜。可愛い可愛い私の宝物。この命に変えてでも守らないといけないもの。


幸せだった。


「ただいま…」

「おかえりなさい。あなた」


あの人は普通の会社で働いている。給料は良くも悪くもない。でもあの人は日に日にくたびれた顔をしていくようになった。私はあの人の元気な顔が好きなのに。どうしてそんな顔をしているの?私たちとの生活が楽しくないの?


「…ご飯にする?」

「ごめん…今日はもう寝るよ…」

「は?」


この男は今なんと言った?私の作ったご飯を食べずに寝る?そんなの許されるわけが無い。


「食べて」

「俺も食べたいんだけどそれ以上に眠気が…」

「言い訳しないで」

「…分かったよ」


あの人は言えば分かってくれた。なんだ、ちょっと強く言えばちゃんとわかってくれるんだ。


そうわかった私は次から少し強く言うようになった。そうすればあの人はわかってくれる。そうすることが私たち夫婦にとって1番いい形なんだ。


ある日、あの人の仕事が休みの時、あの人はいつも起きてきていた時間に起きて来なかった。…何してるの?


私はあの人を起こしに行った。


「起きて」

「…んん。今日くらい休ませてくれないか?疲れてるんだ」


確かにこの人は仕事から帰ってきて家事を手伝ってくれている。なら休みの日も手伝うのが普通なんじゃないの?


「起きて」

「…ごめん。今日だけは頼むよ」


なんで?なんで言うことを聞いてくれないの?


「起きて」

「頼むよ…」

「どうして?!どうして言うことを聞いてくれないの?!」

「ゆう、こ?」


あの人は困惑している。だけどそんなの関係ない。


「いいから起きて」

「正直、君がそんな人だとは思わなかった」


何、それ。


「何よそれ!」


その日はあの人とは会話をしなかった。


それから数日して表面上だけはまた元に戻った。


買い物をしていると見覚えのある人影を見つけた。


「…何、してるの?」


私はそう呟いてその人物に近づく。


「ん?優子?どうしたんだ?」


あの人は私の存在に気がついてそんな呑気な声をかけてきた。この状況でよくそんな呑気なことが言えるわね。


あの人は女の人と子供と一緒に居た。それも楽しそうに話して。


「何してるの?」


私はそう問いかける。


「あぁ、高校の時の同級生が居たからちょっと話してたんだよ」

「あれ?奥さん?」


子連れの女が私を見てそう言う。


「あぁ、そうだよ」


私は何も聞こえていなかった。あの人が浮気をしているなんて…しかも子供まで作ってるなんて…許せない。


「…ねぇ、どうして浮気したの?」

「…え?浮気?」


あの人は困惑しているが私は続ける。


「どうして?どうしてなの?」

「浮気って…なんのことを言ってるんだ?」


あの人はまだとぼけている。


「…もういい。私たち別れましょう」

「は?ちょ、ちょっと待ってくれよ!」

「いいえ待ちません。私たちはもう終わったのだから」


もうこんな人の声なんて聞きたくない。私は家に帰って娘たちに事実を伝えた。


「…あの人は浮気してたの。しかも子供まで作って…最低のクズよ。だから私たちはこの家を出るわ」

「お父さん…浮気してたの?」

「そうよ。どうしようもないクズなの」

「ほ、本当に?」

「本当よ。さぁ、行きましょう」


そして私たちは家を出た。私の思い通りにならないならもう要らない。


私は思い通りになる家族を作る。


私は冷たいコンクリートの地面の上でそんな過去のことを思い出していた。


何が悪かったんだろうなぁ…雅と杏寿菜に嫌われて…もう…いいや。

これで本当に終わりです!

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!

また小説を書くかもしれないのでその時はよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 人間が化け物、害獣に対して取るべき態度はただ一つ 駆除あるのみ
[一言] 原因は義母なので、奈落の底まで落として欲しいと思いました。後日談に期待しています。
[一言] 子供は母親の影響強く受けるっていいますね 妻が旦那の悪口ばかり言ってる家庭は子供も父親を嫌いになるんですよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ