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え、家族じゃないんですよね?  作者: はる
本編
34/37

来客

優子さんを振り切って柚木と一緒に家に帰ると、そこには変わらず笑顔で迎えてくれる由紀さんの姿があった。


「あらおかえり」

「ただいま」

「ただいま」


俺たちは由紀さんにそう返す。


「…ん?柚木、あなたちょっと目が赤いわね。泣いた?」


そう聞かれた柚木はビクッとしていた。


「な、泣いてなんかないよ?」


柚木の目は泳いでいる。それに俺も目を泳がせていた。柚木を泣かせた原因は俺だからな…


「…緋月君?柚木に何かあったの?」


ここで俺に話を振ってくるあたり俺と柚木に何かあったと勘ぐっているのだろう。


「…」


俺は正直言うか言わないか迷った。優子さんのことはこの家の人達には全く関係ない。それなのにこんな話をしてもいいのか、と。だが柚木が目で訴えかけてくる。話せ、そう訴えかけてくる。


「…実は今日、学校の正門辺りで優子さん…父さんの再婚相手の女性が待ち伏せしてたんです」

「え?だ、大丈夫だったの?」


まぁ大丈夫だったとは言えないよな…


「…俺は最初優子さんについて行ってしまいました」

「…」


由紀さんは何も言わないで俺の話を聞いている。


「何とか最後まではついて行かなかったんですけど…その時に柚木を泣かせてしまいました」

「…そうだったの」


これは怒鳴られても仕方ないと思っているし最悪出て行けと言われるかもしれない。その時は素直に出ていくしかないだろう。


そう思っていたが由紀さんはそんなこと言わなかった。


「良かった…本当に良かった…」

「…え?」


由紀さんは涙を流していた。それを見た俺は困惑してしまう。


「緋月君がまた連れ戻されなくて本当に良かった…」

「由紀さん…」


この人は俺のために涙を流してくれている。そんな姿を見て俺も目頭が熱くなる。


「…ちょっと緋月。私も心配してたんだけど」


そう言ってきた柚木を見ると俺をジト目で睨んでいた。


「あぁ…分かってるよ。本当に悪かった」


やっぱり俺は柚木には頭が上がらない。普通、こんなめんどくさいやつに関わろうとは思わないだろう。なのに柚木は変わらず俺に接してくれる。本当に助けられている。きっと柚木が居なかったら俺は早々に全てを諦めていただろう。そうならずに済んだのは柚木のおかげだ。


「ん」


柚木はまだツンツンしていたがいつもの調子に戻ってくれた。


「じゃあ私は今から晩御飯の準備するから柚木と緋月君は課題でもしててね」

「はーい」

「分かりました」


言われた通り俺たちは課題を始めた。そして課題を始めて何分か経ってから裕二さんが仕事から帰ってきた。


「おかえりなさい」

「ただいま」


由紀さんはご飯を作る手を止めて裕二さんを出迎えていた。


俺たちはそんな声を聞きながら課題をしている。そんなことをしていると玄関のインターフォンが鳴らされた。


「っ!何しに来たんですか!」


そんな由紀さんの張った声が聞こえてきた。


「え、ど、どうしたんだろう?」


柚木が俺にそう問いかけてくる。


「…分からない」


何事かと思い俺と柚木は玄関に向かった。実を言うと俺は少し予想出来ていた。訪れてきた人物が誰なのか、を。


「帰ってください。あなた達と話すことなんてひとつもありません」


由紀さんが拒絶するようにそう言葉を吐く。


俺はそう言われている相手を視認する。やはりか。


そこには優子さんが居た。










父さんと姉妹を連れて。

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― 新着の感想 ―
[一言] 正直法律背に取られたら不利な立ち回りもしているので、迂闊とも感じる。 ここは主人公が確り動かないといけない場面になりそうだが果たして。
[一言] ここでアンタ達の所為で鬱です!ってざまあ喰らわせないとこの屑達は訴えるだのなんだの言って連れ帰ろうとするだろ。ぐだぐだ展開は見たくないな。
[一言] ゾンビの様に襲ってくる元家族達。 これ柚木の家族も心配だ。 うつ病が感染する感応精神病とかいうのか、緋月を一所懸命に支えた結果、柚木ファミリーまでも心が病んでしまいそうで心配だ。
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