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え、家族じゃないんですよね?  作者: はる
本編
24/37

母親の役目(優子視点)

私は総司さんと再婚した。本当にあの人が好きで結婚した。でもまだ過去のあの人が頭にこびりついて離れない。あのどうしようもないクズ男が。


総司さんはあんな男とは違う。いつも私を優先してくれた。いつも私を気遣ってくれた。だから惹かれた。だから再婚する決意をした。私の可愛い可愛い子供たちを連れて。


彼の家には息子がいるそうだ。そして初めて会った時、彼はとてもいい子だと思った。少しシャイな所もあるが可愛らしいいい子だと思った。


そしてそれは間違いじゃなかった。緋月君は私と総司さんが仕事に行っている間に家の仕事を全て終わらせてしまっていた。


私がどうしてそんなことしてるの?と聞くと彼は分からないといったような顔をした。それが既に習慣であるかのように。


正直大変助かっている。私の仕事が減るわけだし助かる。本当にいい子だと思う。でもそれは気を使わないということではない。


まだ私は緋月君に少しの気まずさを持っている。あの子たちは緋月君と上手くやってるみたいだけど…やっぱり子供って打ち解けやすいのね。


そんなある日、緋月君が家を出たいと言い出した。私はそれを聞いてどっちでもいいと思ってしまった。だから私は何も言わなかった。そして彼は感情を爆発させた。私は彼が娘たちとそんなふうになっているなんて思わなかった。悪いと思う。でもそれで?なんで私の居るところでそんな話したの?そんなの聞かされても私は気まずいだけだ。出来ればそんな話しないで欲しかったというのが本心だ。こんなこと思ってしまうなんて私は最低だ。


でもそれはしょうがないことなのではないだろうか?


私には2人の大切な娘がいる。緋月君には悪いが再婚相手の連れ子より自分の子供の方が大切なのは当たり前のことなのだ。


それから数日たった日、私が朝買い物して家に戻ると緋月君が居なくなっていた。私は総司さんに


「緋月君はどこに行ったの?」


と聞いた。すると総司さんは小さな声で


「出ていったよ…」


と言った。どこかに出かけたのかな?そう思った私は再度総司さんに質問する。


「どこに行ったの?」


私にとってはなんともない質問。だけど総司さんにはそうではなかったみたい。


「分からない…」

「え?」

「分からないんだよ…俺は…俺は緋月がどこに行ったのか分からない。どんな苦労をしていたのかも…」


結局その日、緋月君は帰ってこなかった。前に行っていたアパートにでも引越しのだろうか?それならそれでいい。だって私は世界で1番大切な2人が居ればいいのだから。


私があんな男と結婚したせいで彼女たちに苦労をかけてしまった。だから今度はそんな苦労をかけないようにしないといけない。それが母親である私の役目だから。


別に緋月君がどうでもいいわけじゃない。優しくていい子だとは思うけど。でもそれよりも大切な物が娘なのだ。ただそれだけの話だ。


だから緋月君がいなくても総司さんと雅と杏寿菜が居れば大丈夫。

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― 新着の感想 ―
[一言] ウワーオ、こっちも大概あかん人だった・・・この母故にあの娘×2有り、元旦那とも破れ鍋に綴じ蓋だったんじゃねーの、なんて邪推しちゃう。親父とは類が友を呼んで一線越えちゃった感じでしょうかねぇ(…
[一言] 多分、元旦那はクズでもなんでもない、正常な人だろうな
[一言] そりゃあ再婚相手の連れ子なんて結局赤の他人の居候でしかないのだから積極的に嫌がらせして追い出してないだけマシな部類。
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