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マンガ家赤松碧波  作者: 佐々蔵翔人
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学校の流行り

ブーム

白翔の通う小学校ではあるものが人気になっている。

それは動物を育成するゲーム。学校に向かう通学路でも校内でもその話で持ち切りになっていた。


ポニーを育てている子もいればヤギを育てる子と多種多様となっている。しかしこの会話に白翔は参加することが出来なかった。


「みんなゲーム機やソフトをどこで買ってもらっているんだろう……」


クラスメイトに聞くと最近函館市にも出来たというおもちゃ屋さんで口を揃えて答える。


このブームに乗り切れなかったら自分だけ置いてきぼりにされると思って家に帰って親に買ってもらおうとお強請ねだりする。

それならばと連れて行ってくれることになり、スゴい嬉しくて夜も眠れなかった。


翌日、学校に行ってそのことを伝えると1人の男の子が白翔に家に来なよ。何人か遊びに来る予定だから通信対戦出来るから楽しいと思うよ。


これを聞いて単純に動物を育成するゲームだけじゃなくて対戦機能もついている。


やり方も何も分からないのにどんなキャラクターにしようか、名前を決められるのならどうするかそんなことばかり考えていた。


早く学校が終わらないかな、脳内はゲームのことばかり。授業が終わってランドセルを背負うとそのまま家に上がらせてもらう。


白翔、やってみなよとゲーム機の付け方から操作方法からキャラクターの育成の仕方などいちから教えてくれて優しいなと思いつつゲームを進めていた。


「ピーンポーン、お邪魔します」

男の子2人と女の子が3人が部屋に入ってきた。


白翔くんは始めてゲームすると思うからこのキャラクターを使って戦った方がいいよ。


女の子が優しくそう声をかけてくれて戦略やアイテムの使い方を駆使していると白翔は初心者とは思えない。


白翔君センスあるねと言われるがみんなが教えてくれたおかげ、勝てたのはあくまでもビギナーズラックの偶然としか思っていなかった。

早くゲーム買ってみんなで対戦しようね。そう言って家に帰って行った。


予約

土曜日、新しく出来たというおもちゃ屋さんに行くがゲーム機もソフトも売り切れでいつ入荷するかも不透明感となっている。函館市に欲しいゲーム機が置いてあるのはこの店舗のみ。


父は道内にある店舗に問い合わせをすると旭川市にあるおもちゃ屋ならゲーム機もソフトセットでまだ余裕があります。予約されますか?


父は白翔の顔を見て思わずこう言った。

「ゲームするの今日じゃなくてもいい?今から旭川まで行こうと思うと電車でも車でも片道5時間くらいかかる。どこかに泊まるにしても何も用意してないから」


今日じゃなくてもいいよ。出来るならいつでも大丈夫だから気にしないで。住所教えたらそのまま郵送してくれたら楽なのになと小学生ながら感じていた。


この時、北海道って広いんだなと実感した。碧波に会いに行くにはそれくらいかかるのか。とても同じ北海道に住んでいるとは思えなかった。


母はどこかに電話をしてしばらくして切る。


白翔、碧波ちゃんのお母さんがゲーム機とソフト取りに行ってくれるみたいで家に送ってくれるみたいだよ。だからもう少しだけ待っていてね。


これでみんなと一緒のゲームが出来る、後は待つだけだと気長に待つ。


どれだけ早く来てと願っても早く来ない。急いで届けようとして壊れた物が届くくらいなら時間かけてでも使える状態で届けて欲しい。


注文から1週間後、自宅にゲーム機とソフトが届いた。

母にそのことを伝えるとじゃあ碧波ちゃんのお母さんに電話するから自分でお礼をいいなと電話をかけた。


「白翔君、ゲーム機ちゃんと届いたみたいでよかった。次に会うのはお盆かな。どこで集まるのかはお母さんと話し合ってになるけどその時は碧波と仲良くしてね」


そう言い残して電話が切れた。携帯電話を母に返して早速ゲーム機にソフトを差し込んでみる。


ご飯を食べている時間以外はずっとやっていた。みんながハマる理由が分かるな。


眠たくなってきたなと思って部屋にある掛時計をみると日にちを回ろうとしていた。データをセーブして電源を切ってそのままベッドに横になる。


翌朝、教室に入って遊んでいたクラスメイトにやっとゲーム機とソフトが届いたよ、一緒にやろうと誘う。笑顔で声をかけたがみんなの顔は引きつっていた。


白翔ゴメン、俺たちは今そのゲームじゃなくて格闘ゲームに流行っているんだ。他のクラスにも動物を育成するゲームやっている人を教えるよ。


ほんの少し前まで対戦しようねって言っていたのに、こんなすぐブームは過ぎ去ってしまうのかと悲しくなってくる。他のクラスの子に声をかけたが別のゲームをやっている子が多い。


このゲームは男女問わず出来るのが特徴、女の子たちにやっている子がいればその子と対戦出来ればいいかなと感じていた。この考えも打ち砕かれた。


私たちは今、アイドルを育成するゲームにハマっているんだよね。白翔君ゴメンね。


いたたまれない思いとはこのことか。動物を育成ゲームは面白いし、無理にみんなのブームに乗っかる必要もないのかな。


みんなが持っているゲームは人気だから買って貰う頃にはまたブームが去る、そんな気がしたらまたソフトを買ってとお願いは出来なかった。

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