表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/16

第九話……烏帽子武者

「各隊に両翼を伸ばせと伝えよ!」


「……あと、武田勢二万騎が援軍に来たと叫んで廻れ! 特に越後勢に聞こえるようにな!」


 別動隊が駆け付けたと知ると、信玄は一転、使い番(連絡係)の百足衆に反撃の狼煙を上げるよう伝える。



「「「はっ」」」


 百足衆が諸隊に散る。




「ふぅ……」


 そんな信玄の本陣の前面を守るは勘助であった。

 越後勢の返り血を被り、真っ赤な装束となっている。



「これで拙者も精鋭の赤備えかな……ははは……」


 そんな自嘲じみた独り言を言っていると、前方から騎馬武者が駆けてくる。

 よく見ると、烏帽子をかぶっており、雅な貴族にも見える。



「ここから先は本陣でござる。下馬されたし!」


 勘助が両手を上げ遮ると、


――ビシッ

 勘助は一刀両断に切られた。



「案内ご苦労!」


 ……その声は、女子の声にも聞こえた。




☆★☆★☆


 信玄の本陣に、真正面から烏帽子を被った雅な騎馬武者が駆けてくる。

 もはや警護の兵も前線に出ており、信玄しかいない。



「信玄公お覚悟!」


「何奴!?」


――ビシッ

――ガッ


 騎馬武者が三度振り下ろす刀を、信玄は鉄製の軍配で防ぐ。



「御屋形様!」


 それを見た警護の者が、慌てて駆け付けて来る。



「武田信玄殿! また会おうぞ!」


 雅な騎馬武者はそう言い放ち、どこやらへ駆けていった。



「……彼奴は何者だ!?」




☆★☆★☆


 そのような乱戦が続くも、形勢は甲軍優勢に傾く。

 越軍は甲軍本隊と、駆けつけてきた別動隊によって挟み撃ちになった格好になっていた。


 越軍は退却を始めるが、越軍が優位の戦いの前半で勝ち取った兜首が重く、退却の速度は遅々として鈍い。


――当時は、獲った兜首が恩賞の為の証拠だった。


 越軍は退却に際し、その腰にくくった兜首が重くて逃げ遅れ、自らが兜首にされてしまったものが多数出てしまったのだ。


 戦いは越軍は全面敗走の形となり、それを甲軍が全軍で追い打ちする形となっていった。




挿絵(By みてみん)

【和歌山県立博物館蔵】




☆★☆★☆


【一口信玄メモ】……陣太鼓


 武田軍の攻撃中に響く陣太鼓は押し太鼓とも言われ、鳴っている間は退くことを許されなかったという。

 武田武士の勇敢さを表すエピソードである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
此方も宜しくです (`・ω・´)ゞ
↓↓クリック↓↓

i000000
(バナー作:「砂礫零」様)
よろしければ、こちらもご覧ください (*´▽`*)
↓↓クリック↓↓

i000000
(バナー作:「こたかん」様)
↓↓ クリックしてみてください ↓↓

i000000
(バナー作:「砂礫零」様)

i000000
(バナー作・「秋の桜子」様)
― 新着の感想 ―
[良い点] えっ、謙信の声が? 女装趣味があったとは聞きましたが、恐らく著者様の趣味でしょうね(笑) [気になる点] ここまで見ると、<上杉圧勝>の流れでしたな(笑) [一言] 双方、犠牲が大きい…
[一言] 一番有名なエピソード入れてきましたね。
[良い点] あら、勘助があっさりと(笑……っちゃ悪いですが)。 兜首の話はリアルですね。功は上げたし命は惜しし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ