【13】
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「おーい、イフくんリィスくん。どうやらユウくんは、君たち二人の転生の為に、存在という概念を抹消するつもりらしい」
話しが落ち着いた時に、突然先生が大きな声を出して、ユウはギョッとした。見ると、村長もギョッとした表情をしていた。
「せっ……先生!」
そして先生は、イフとリィスを引き連れてこちらに近づいて来た。
「あいつが地獄耳じゃったのを忘れとったわい」
「いやいや村長、その決断はユウくん一人で決めて良いものでは無いかと思いまして」
まだ数メートルも先にいるというのに、先生は呟く様に言った村長に返事を返した。
「どういう事っ!? お母さん、存在を消すって……」
「お母さん、説明してください!」
激昂した様なイフとリィスに詰め寄られ、ユウはため息を漏らした。
「わかったよ……私は、お前たち二人が無事転生出来る様に、私自身の存在の概念を消し去ってして貰おうとしてた。この村での私との接点が無かった事になれば、お前たちは何事も無く転生出来るんだからな」
「お母さん!」
イフがユウに詰め寄って来る。表情を見るに、かなり怒っているらしい。
「それでは、自分を犠牲にして、百合の幸せを願った僕と同じだよ! そんな僕を、お母さんは叱ってくれたんじゃないか!」
しかしユウは頭を振って、否定の意を示した。
「違うぞ一位、これは私のけじめだ。私のせいでお前ら二人が転生出来ないとなったら、私の方が堪んないんだよ」
「一緒じゃないかっ! 僕の時とまるっきり!」
「違ぇよ、これはわがままな私の、わがままな願いでもあるんだ。それとも、お前たち二人の転生を失敗させといて、私が胸張って生きられると思うか?」
「でも! やろうとしている事は同じじゃないか! 自分を犠牲にして、僕たちの為に!」
「いいや、あの時の馬鹿な事考えてたお前とは違うよ。
だって私は、ちゃんと生きて行く為の決断をしてるんだから」
「生きていく? でも、さっき存在を抹消するって……」
ユウは後ろを向いて、頭をわしゃわしゃと掻いた。
「正直言って、村長が言うには賭けらしいが……私は、一時的にお前たちの中の概念から消えて、そしてお前たちが無事転生してから、再生するつもりなんだ」
リィスが不安そうな表情でユウの後ろ姿を見つめる。
「そんな事、本当に出来るの……?」
「わかんねぇ、でも私はお前たちの転生をなんとしても叶えてやりたい。それに私自身も、またいつか何処かで、お前たちに会いたい。私のこの二つのわがままを叶える為には、もうこれしか無いんだ。
一位、私はお前たちと、この空の下でいつかまた巡り合う為に闘うんだ。私自身の為に」
ひとまず落ち着いた話しを一歩離れて見ていた先生は、何か言いたげに村長を見ていた。そして村長は、それを言わせぬかの様に、先生を抑止した。




