ポーカーフェイス
「今日、浜田が…」
私が帰宅すると『お帰り』のチュ〜もそこそこに、ハニーは話し始めた。
「浜田?」誰だ。それは!?
初めて耳にする名前だ。
「ほんと、面白いヤツで」
どうやら大学のクラスメイトらしい。
ハニーは、さっきから楽しそうに「浜田」「浜田」と連呼する。
そうか。…「浜田」は、ハニーのお気になのか…。
「浜田が」「浜田の」
今、「浜田」を語るハニーの世界に私は存在しない。
何か、ムカつく。
胸の中から、何かが溢れ出して、叫んで暴れだしたい衝動に駆られてる。
たかがクラスメイトにヤキモチなんて……!?
そう、これはヤキモチだ。嫉妬だ。
「浜田」に対する!!
『いい加減にしろ!五月蝿い!浜田なんて、大嫌いだ!!』
そう、叫びたい!!…のに…。
だが、私は大人だ。29歳の!
そんな事で、ハニーに「器の小さい男だ」と思われたくない。
なのに、「浜田」を語るハニーを見てると、さっきよりも1分1秒、私の顔が強張っていくのが鏡を見なくても解る。
ダメだ!限界だ!!
もう、耐えられない。
早くハニーの口を塞がなければ―――。
私のポーカーフェイスが、これ以上崩れる前に!
「浜田」の「は」を言う前に、咄嗟にハニーの口をキスで塞いでた。
顔を離すとハニーは、笑ってる。
まるで、悪ガキそのままの表情で…。
「……!!」
いや―――。まさか、ハニー―――。
さっきの話しワザとじゃないよね?
私のポーカーフェイスを崩すために…ワザとじゃ…。
でも、そんな事聞けない。聞いたら墓穴を掘ってしまいそうだ。
「もっと浜田の話し聞きたい?」
「いらない!」
そうか…。そうだよな。
ポーカーフェイスなんて、ハニーの前では必要なかったんだ。
不機嫌な私の顔を見て、ハニーは益々笑い出した。
自分が初めて書いたSSです。




