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第二十二話 人生チートの環境整備 その2 花梨先輩引退宣言

 私にとっての至上の快楽。

 それが睡眠であることは昔とかわらない。

 ただ花梨先輩からの借金のおかげで最近は少し寝不足気味だ。


 FXの外貨の動きは普通はせいぜい二時間で〇・二円程度。

 これを十万単位で買っていると二万円の儲けになる。

 半年で五百万稼ぐとするとこれを二百五十回繰り返さないといけない。

 なお土日はFXはお休みなので稼げるのは平日のみ。


 更に言うと私の予知魔法はせいぜい半日程度の効力。

 そんな訳で稼ごうとするとついつい夜遅くなる訳だ。

 仕方無いので授業中に気配隠蔽魔法を使いつつ睡眠を取っている始末。

 世の中何か間違っている!


 なお魔王討伐は先週の土曜日に無事終わった。

 今度は百合亜さん極悪女英美里さんの三人で全部倒しきった。

 仮にも世界を滅ぼす大魔王相手にこんなのでいいのかと思ったりもする。

 でも事実は事実なので仕方無い。

 まあそんな訳でフィルメディ、アトラ世界でのやり残しは無事終わった訳だ。

 ヴァトーが報告書類をどう書こうか悩んでいたがそれはあいつの仕事。

 私には関係無い。


 そんなこんなで寝不足気味のまま迎えた十二月。

 文化研究会の例会で花梨先輩がある発言をした。


「今回の例会をもって、私もこの研究会の会長を卒業しようと思います」

 そんな台詞からその発言は始まった。

「皆さん御存知の通り、私はこの研究会の会長をこの学校の創立当初から続けてきました。でも先日アトラ世界の大魔王が倒されたことにより、私がここに居続ける理由もなくなりました。これからは普通に卒業して大学生になって、普通の幸せを掴みたいと思っています」


 言っていることはもっともだ。

 少し間をおいた後、どこからともなく拍手が巻き起こる。


「ありがとうございます。

 もちろん他世界から転生された方や魔力を持って生まれた方のために、この研究会は是非存続していただきたいと思います。それ以上の方針ついては二年生の方の、次の部長にお任せしようと思います。

 それでは今まで長い間支えていただき、本当にありがとうございました」

 

 拍手とともに会長辞任が承認される。

 あとは二年生の番だ。

 そもそも一月からは三年生は試験だの自由登校だのでいなくなる。

 そんな訳で二年生会の方から新しい役員が発表された。

 会長が壁、副会長が生活班の清花先輩である。

 壁が早速会長就任挨拶をはじめた。


「そんな訳で花梨先輩から会長職を受け継いだ取手だ。私達は今まで花梨先輩が育ててきたこの研究会を更に発展させ、生活の役にたつような会にしていきたいと思っている……」


 これで色々と終わったんだな。

 フィルメディで第一騎士が出現してからの色々な事が、全部。

 この時の私はそう思っていた。

 何か寂しいような何ともいえない気分になる。

 私も二年後には卒業し何処かの大学に入り、ここの連中とも疎遠になるのだろう。

 魔法を使えることは自分だけの秘密。

 そうやって今までの物語は幕を閉じる訳だ。


 そう、私は思っていたのだ。

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