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第二十一話 そして第四騎士? その3 第四騎士はあっさりと

 勝手知ったるカショーア砦。

 与えられた会議室に出た後は私の先導で巡回騎士の執務室のある場所へ。

 走査魔法で確認したところ、ヴァトー巡回騎士長は在室中の模様。

 なので遠慮無く執務室の扉をノックする。


「バトちゃん、遊びましょ」

 ちなみに今の台詞はグラードもとい佐和さんだ。


「どうぞ」

 中から返事が聞こえたので遠慮無く侵入。

 ちなみに今日の編成はD班プラス花梨先輩プラス沙羅先輩プラス佐和さんだ。


「どうしたのですか、今日はいきなり」

「ちょっと第四騎士を倒してこようと思ってな」

 佐和さんが何でも無いことのように言う。


「第四騎士が現れたのですか。それでは至急王宮及び各騎士団に連絡を……」

「いらないぞい」

 佐和さんがあっさりそう言ってヴァトーを引き留める。


「いらないぞいって、それでは……」

「まだ第四騎士は前駆体、それに配下の魔物もまだ揃っていない。この状態で奇襲をかけて現場付近の敵魔物を殲滅する予定だ」

 これは壁。

「そんな訳でバトちんには第四騎士を討伐した証人になってもらいたいんだよ」

 これはポニテだ。


「でも万が一の為に他への連絡と周囲の警戒警備等は」

「大丈夫です。必要ありません」

 これは花梨先輩。

「そんな訳でヴァトー殿には申し訳ありませんが、現場へ移動させていただきます」

 問答無用で移動魔法がかかる。


 到着したのはいかにもという洞窟前だ。

「此処は何処ですか」

「エイノー地方、オミカス山、テュラ川の源流部だよ」

「しかし私は武装もしていませんし、見た限り皆さんも武装していないようですが」

「第四騎士前駆体の魔力を調べた結果、特に準備は必要ないと判断しました」

 花梨先輩は通常の口調でそんな説明にならない説明をする。


「しかし……」

「まあヴァトー、見ていてくれ。方針転換が何故か、きっとわかるから」

 とりあえず私はそう説明するがヴァトーは気が気では無い様子。

「中から魔物が集団で出てきますよ」

 確かに向こうで言うところの中鬼クラスが十数匹出てくる気配がする。


「では今回は私が先鋒で行きますわ」

 高萩先輩が洞窟の前に出て右手を真っ直ぐ伸ばす。

「行きます。スラッシュ水素・高速液流!」

 動いていた中鬼がぴたっと止まり、気配を消した。


「えっ……!」

 ヴァトーはあまりの効果に一瞬固化した。


「邪魔だから凍った魔物をどかしますね。オーブン、温度五千度三十秒! あと換気魔法も使ってと、これで入っても問題無いでしょう」

 今ので倒したのは手前に来ていた中鬼だけでない。

 四層構造の洞窟内部のうち第一層の魔物反応が全滅した。


 もう私達は今更なので気にもしない。

 でも固化からは復帰したもののヴァトーはかなり驚いている。

「何なのですか、今の魔法は」


「ここの全員、これくらいの魔法は普通に使えるぞい」

 佐和さんの台詞がさっきからグラードの口調になっている。


「さて、第一層は全滅したようですので第二層に移動しましょう。咲良さん、続いて敵の掃討をお願い致します」

「かしこまりました」

 もはや洞窟内を歩きもせず魔法移動で移動。

 第二層に出たところで再び高萩先輩が魔法で敵を一掃する。

「もう面倒だから凍らせたままにしておきますね」

 もうヴァトーは何も言わない。


 第三層も同様にクリア。

 第四層は最初と同様凍らせて蒸発させた後、敵が消えた状態で奥へ歩いて行く。 

「とりあえず魔力が残っている魔物は無いようですわ」

「でも第四騎士の前駆体は確認し無いとさ」

「五千度三分間の状態で形が残っているでしょうか」

「その前に絶対温度一度以下で凍らしているしね」

 敵の出現が無い洞窟はただただ長くて面倒だ。

 一番奥まで行くのに十分近くかかった。


「うん、綺麗に蒸発しているね。痕跡も無い」

「魔力結晶が一応残っているから、これを証拠に持って帰ろうか」

「そだね」


 ヴァトーは大きなため息をついた。

「理解しました。確かにこれでは他への連絡も武装も必要無いでしょう」

「そんな訳でむしろ誰にも見られないよう、こっそり動きたいのじゃよ。ただ第四騎士なり魔王なり退治されたという証人は必要だろうからな」

「それで私がついていくわけですか」

 はあ、とヴァトーはまたもやため息をつく。


「取り敢えずこの件については私から王宮へ報告書を提出します。証拠の魔力結晶もありますから何とか信じて貰えるでしょう」

「頼んだぞい」

 話しているうちに移動魔法がかかり、ヴァトーの執務室内部が見えてきた。

「それじゃ後はよろしく」

 ヴァトーだけを残し、私達は再び移動魔法で準備室を目指す。

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