第二十一話 そして第四騎士? その2 試供品お試し中
「どうだった? 出来そう?」
訓練空間に戻ると同時に囲まれそうになる。
咄嗟に交代して囲まれるのを防ぐ。
固化すると面倒だしな。
「試作品を作ってもらって試してきた。これがお土産」
取り敢えず手が届く範囲にいる壁と百合亜さんと高萩先輩に土産を渡す。
「人数分は無いからここで皆で食べてくれ」
「うわ、ロイスのポテチチョコじゃん。北海道まで行ってきたのか」
「らしいものと言って急に思い浮かばなくてさ、北海道は千歳空港まで行ってきた。全部味が違うから」
全部の袋があっという間に開かれる。
「北海道まで行けたという事は一応成功か。距離的にはその辺が限界かな」
「限界は試していない。取り敢えず日本語が通じて日本円が通じる遠い処という事で行ってみたから」
「なら世界旅行も出来るかな」
「大丈夫だと思う」
「ちょっと試作品借りてみていい?」
襲われる前にポニテに渡す。
「ちょっと重いかな、これ」
「試作品だしさ。多分量産品はもっと小さく軽くなると思う」
「ちょっと試してみるね」
ポニテの姿が消えた。
「何処まで行ったんだろう」
「世界旅行とか言っていたから外国の何処かじゃない?」
「とりあえずポテチチョコ美味しい」
「でも喉が渇くね」
「お茶あるよ、ペットボトルの」
二リットルの大きなペットボトルだ。
当然コップなど無くそのまま口をつけて飲むので私は遠慮しておく。
そんなこんなでポテチチョコ三袋が空になった頃。
「うおー、帰ったどー。寒かったー!」
ポニテがやっと戻って来た。
何か抱えていたものをテーブル上に置く。
「ああ、ポテチチョコが残っていない!」
「元々量が少なかったしさ。それでその氷は何なの?」
「南極の氷山で削ってきた。寒かった……」
半袖ポロシャツ姿でそんな所へ行ってきたのか。
「何でそんな事を」
「折角だから遠くへ行ってきた証拠が欲しくて」
何だかなあ。
「でも多分、この魔道具で地球上なら何処でも全然余裕で行けるよ」
「いいね。じゃあ量産して貰おうよ。とりあえずここの全員分」
「既に佐和さんに注文済み。三日くらいかかるって」
「良くやった!」
これで少なくともD班全員が遠距離移動まで可能になる。
勿論これは第四騎士討伐のため……ではない。
今後の私達の生活をチートかつ豊かにするための下準備だ。
ちなみに他にも色々チート準備は進めている。
例えば勉強も、覚えやすいように整理して魔法で詰め込めば完璧に記憶可能だ。
数学等の応用問題も解き方ごと覚えておけばいい。
この辺は各科目得意な人を割り当てて作業する予定だ。
「あとは金銭関係か。高校生だと色々難しいよね、賭博系は無理だし」
「大学入ってからかなあ」
「でも花梨先輩や沙羅先輩は年齢偽装した戸籍も持っているんだよね」
「あの辺は実際に十年以上前から活動しているしね」
「なら私達も誰か一人でいいから偽装戸籍作ろうか。それで資金貯めて東京辺りに家を買って」
「そうだね。今度調べて偽装戸籍作ってみよう!」
おいおい犯罪だろそれは。
でもまあ、確かにそうすれば資金的な余裕も出来るな。
「他にも沖縄にリゾート物件を買うとかしてもいいよね」
「無人島も売っているらしいぞ。買って魔法で開発しまくれば」
「自分の島というか王国が出来るよね」
なんだかどんどん夢がひろがっていく。
大丈夫だろうかこの集団。