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第二十一話 そして第四騎士? その1 ある魔道具の製作

 二学期が始まった日の放課後。

 私は昨晩頑張って描いた図面数枚を持って倉庫二階を訪れた。

「こんにちは、佐和さんいますか?」

「いつも通り奥で何か作っていますよ」

「ありがとうございます。失礼します」

 そんな訳で製作班の皆さんのところを横切り奥まで。


 佐和さんは何か巨大な銃らしきものを作っていた。

「佐和さん、何を作っているんだ、それ?」

「やること無いからレールガンでも作ろうかと思って」

 おいおいそんなもの危険じゃ無いのか。


「ちょっと工作依頼を持ってきたんだが大丈夫か?」

「面白い物ならいいよ」

「実はこんな感じなんだが」

 持ってきた図面を見せる。


「何だこのややこしい魔法陣は」

「以前私が研究していた空間・世界移動魔法陣の完成形だ」

 先日花梨先輩に見せてもらった魔法陣の改良版だ。

 昨日色々思いだし、固化と復活を繰り返しつつ描いた代物だ。

 あれは生体金属(オリハルコン)製で体内に埋め込まれていたが、これは魔道具として持ち歩きを考慮した形に改良してある。

 生体金属(オリハルコン)魔法銀(ミスリル)はこの世界には存在しないが、ある程度の効率悪化を覚悟すれば他の金属でも代用可能だ。

 この世界に存在する金属では金か銀がいいのだが、材料費がかかりそうなので銅で製作予定。


「ここに作った魔力コンデンサに一時的に魔力をため込んで、一気にこの魔法陣全体に流す仕組みだ。大きさは魔法陣の形を失わない範囲で出来るだけ小さく。まあスマホくらいの大きさに出来れば助かる」

「かなり危なそうな魔道具に見えるんだけれど大丈夫か?」

「理論上は大丈夫。ただ効果が結構特殊なので最初は私が試してみるつもりだ」

「わかった。ちょっと待ってて」


 佐和さんは倉庫の更に奥に行って、銅の針金とアルミの針金、ベニヤ板を持って戻ってくる。

「取り敢えず材料はこれでいい。量産するならガラスエポキシ基板にして重ねるけれど。そんな訳でちょっと失礼」

 レーザービームのような魔法でベニヤ板を同じ大きさに何枚も切り出す。

 そして図面を見ながら銅線を魔法陣状に加工しベニヤ板に貼り付ける。

 それらベニヤ板を八枚重ねて、外側にアルミの針金を巻いて一気に魔法で変形させ、全体を一枚の板状に仕上げた。


「ほいよ、試作品完成。ちょっと大きいけれど大体注文通りだろ」

 七インチのタブレットパソコン位のサイズだ。


「上等上等、しかし流石だな、加工魔法。これはやっぱり真似出来ない」

「元ドワーフだしな。金属系には好かれているんだ」

 材料に好かれているというのはどういう状態だろう。

 わからないまま私は今製作したタブレット状魔道具を手に取る。


「よし、なら試してくるか」

「ここで試して大丈夫か?」

「ちょい他へ出てくるよ」

 そんな訳で短距離移動魔法を唱える。


 出たのは取り敢えず倉庫の外。

 この辺は学校内の辺境なので人の姿は無い。

 私は魔道具に魔力を流す。

 少しずつ、でも確実に。

 ある程度流したところで反応があった。

 よし、試運転だ。

 日本語と日本円が使えて遠くとわかりやすい場所がいいな。

 そんな訳で私は魔道具を起動させる。


 ◇◇◇


「グラードもとい佐和さん、これ最高の出来だ! 量産頼む。とりあえずあと十個」

 テストが終わり次第、私は佐和さんに量産を頼み込む。

「二・三日時間をくれ。もっと安定したのを作るから。でも何に使うんだその魔道具。しかも十個も」

「何なら佐和さん用も作って試してみればいい」


「危なくはないのか」

「多分。かかった費用は花梨先輩に請求してくれ。払うから」

「何か良くわからないが、とりあえず頼まれた」

「宜しく」


「ところでその下げている白い袋は何だ」

「あ、そうだ。土産だ受け取れ」

 ポリ袋の中から取り敢えず一袋を佐和さんに渡す。


「おい、このロイスのポテトチップスチョコレート、こんなの何処で買った!」

「では失礼。製作宜しく」

 問答無用で短距離移動魔法を使う。

 近距離なら魔道具を使わない方が楽かな、使用魔力も少なくて済むし。

 そんな感じで私はD班が訓練している人工空間へ移動する。


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