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第十九話 討伐合宿開始 その3 魔法訓練相談あれこれ

 そんな訳で午後も魔法指導絶賛実施中だ。

 今は生活班二人製作班二人に対して極悪女(理澄)と一緒に指導中。


「あの誘導型の火球(ファイアボール)を何個も出す場合、どうやって誘導しているんですか」

「あれは自律誘導の一種だ。ファイアボールの速度を決めるとき、速度の九割を前進に、残り一割を敵の方向への方向転換用という感じで決めておく。そうすると勝手に敵を目がけて飛んでいく訳だ。

 ミサイルみたいに大量の火球を使う場合は方向転換用に速度の三割くらいを振ってやるとよく曲がってついていく火球になる」


火球(ファイアボール)だけでなく他の魔法でも誘導型は出来ますか」

「基本的に重さがそれほど無い魔法なら。だから風衝撃弾なんかも当然同じ事が出来る。でも氷魔法だと氷の重さがあるから結構難しいかな」


「実際に風衝撃弾でやるとどんな感じですか?」


「ゆっくりやるから魔力制御をよく見ていてくれ。あ、その前に標的を作るか。マッドゴーレム、大きさ標準小型、自律型、練習場の端までまでは一秒二歩で直進する。端では回れ右する。元に戻る」

 わかりやすいように日本語で命令を飛ばす。

 いつもはWhile文とかIF文で制御するけれど今回はわかりやすさ重視だ。

 ゴーレムが作成され、動き始める。


「さて、風衝撃弾の追尾型をやってみるよ。

 宣言、風衝撃弾テストタイプ、威力小、追尾型、速力分配、前進八、方向転換二。

 風衝撃弾テストタイプ、起動・発射! 起動・発射! 起動・発射!」

 風衝撃弾が連射され、きゅっと軌道を曲げてクレーゴーレムに命中する。


「こんな感じだな」

「最初に宣言するのは何故ですか」

「あらかじめその魔法の名前を宣言しておいた方が、何回も同じ命令を繰り返さなくて済むから便利なんだ。理澄は火球の標準追尾型を完全に宣言・定義して無詠唱で連発できたりする」


「そうそう、例えば遙、ちょっと五メートル位離れて見て」

「非常に嫌な予感がするが、こんなものか」

 理澄こと極悪女はにやりと笑いつつ生活班の湯本さんと内郷さんに説明を続ける。

「私の場合は火球(ファイアボール)、内部温度二千度、保持時間四十秒、追尾型、速度分配前進七、方向転換三。これをあらかじめ無詠唱で出来る位まで覚えているの。だからその気になると無詠唱でこんな感じに」


 ドドドドドドド!

 やっぱり私に向けて連射しやがった。

短距離移動(クワィ・ヌル)! 短距離移動(クワィ・ヌル)! 飛翔!(マリポーサ)

 まずはかなり空中かなり高い場所に逃げる。

 こっちへ火球が一斉に向かってくるのを確認。


 充分に引きつけた後。

短距離移動(クワィ・ヌル)! 飛翔!(マリポーサ)

 火球の軌道を真下に向けたところで更に。


短距離移動(クワィ・ヌル)!」

 グラウンドの一番端方向へと移動。

 上空から火球が降り注いでくる直前に。

短距離移動(クワィ・ヌル)!」

 ついさっきまで私がいた場所にドドドドドドオッと火球が着弾する。


「あれくらいしない限り、避けるのは不可能だから効果はあるわよ」

 極悪女、その説明方法は酷い。

「容赦なさ過ぎだろ! あれ避けるの結構大変なんだぞ!」

「ゴーレム相手にやるより説得力あるでしょ。万が一当たっても遙は魔力ゴリラだから何とかなるし」


「今は理澄だって充分魔力ゴリラだろ」

「女の子にゴリラは酷いじゃない」

「立てばお猿で魔力はゴリラ歩く姿はモンキーウォーク!」

「そこまで言う! また火球連射するわよ」


「あのー、私も魔力ゴリラでしょうか」

 第三者の台詞に私と極悪女は思わず横を見る。

 何故花梨先輩がここにいる!

「第三騎士の洞窟の偵察に行こうと思って遙さんを誘いに来たのですけれど」 

 なるほど、理由はわかった。

 でも……

 私は理澄と顔を見合わせる。


 うん、ここで嘘は良くないな。

 優しい嘘はいらない、後で本人を傷つけるから。

「花梨先輩は魔力ゴリラじゃありませんよ」

 理澄が? という顔をしたので付け加える。

「私が魔力ゴリラなら花梨先輩の魔力はキングコングです」

「酷い! 可愛い妹に向かって酷いじゃない!」

 そうきたか。

 理澄はこの台詞の意味を知っているが残り四人は目を丸くしている。

 ああ、説明するのが面倒くさい…… 

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