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第十五話 対決・牛鬼 その3 対戦! 牛鬼!

 深夜二時ちょうどだった。

『連絡します。牛鬼が動き出しました。全員テントから出て臨戦態勢願います』

 花梨先輩の魔法音声が響く。


 私もテントから出て砂浜上の草地へ。

 魔法で牛鬼の場所を確認する。

 島南端の岬付近を飛行中だった。

 皆が隊列を組んだその更に前、南側へ立って南東側を向く。


『牛鬼は低空飛行が出来る模様です。現在島の南側の海面を飛行しています。あと五分程で戦闘可能な場所まで到達する予定です』

『使い魔その二、攻撃を受けました。口の中から火球を発射します。引き続き誘導を続行します』

 これは沙羅先輩だ。

 使い魔を三体ほど操って牛鬼をこちらに誘導している。

 これは牛鬼が隣の有人島へいきなり動かないようにするための措置だ。


『遙さん、防護壁魔法の用意はいいですか』

「いつでも大丈夫です」

 既に準備は出来ている。

 予呪文の形で用意した魔法防護壁(マスク)大強化(マシマシ)片側適応(フシンフ)は五発。

 常に防護壁を二枚は張って万が一に備えるつもりだ。

 その分若干攻撃魔法が通りにくくなるのはまあやむを得ない。


『牛鬼、南東の岬を通過、まもなく』

『沙羅、使い魔を戻して下さい。遙、防護壁展開』

『了解』

 魔法防護壁を二枚展開する。

 今回は防御範囲がやや広い分魔力を消費する。

 でもまあ二時間位は持つだろう。


 誰かが暗視魔法を全員対象で起動した。

 おかげで昼間のように周りが見える。

 前方の岩の間から巨大な何かが見えた。

『攻撃準備。もう少し寄せてから一気に叩きます。沙羅、盾魔法準備』

 一気に緊張感が辺りを覆う。

 でも大丈夫、この程度ならまだまだだ。

 逆に言うとこの程度で苦戦するようなら第三の騎士など相手に出来ない。

 まあ第三の騎士なんて知っているのはD班の他数人くらいだろうけれど。


 牛鬼がはっきり見えるくらいまでに近づいた。

 奴はこっちを向いて大きく口を開く。

 火炎弾発射!

 だがその炎の固まりは私の防護壁よりはるか向こう側で弾かれ海中へ落ちる。

 牛鬼の背後の海面からじわっと水蒸気が巻き起こった。


『それでは敵を固定します。攻撃開始』

 私の背後から様々な攻撃が牛鬼目がけて解き放たれる。

「●●●●彗星拳!」

「鳳凰●昇!」

「波●拳!」

 何か聞き覚えのある技が多いが気にしてはいけない。

 牛鬼が空中でふらつき海面すれすれまで落ちる。


「魔●光殺砲!」

「シュー●リーム・サンダー!」

「オー●ラエクスキューション!」

 怪しい必殺技がタコ殴り状態で襲いかかる。


 何か見ていて牛鬼が可哀想な感じすらしてきた。

『もうやめて!牛鬼のライフはとっくにゼロよ!』なんて言いたくなったりもする。

 まあまだライフは残ってはいるけれど。


 そして。

「ティロ・フィナーレ!」

 佐和さん(あのバカ)の声が聞こえた。

 わざとらしい巨大な弾丸が牛鬼に突き刺さる。

 どっかーん!

 音こそ違うがそんな感じで牛鬼の身体が破裂した。

 破裂した身体はそのまま煙のように空中へと消えて行く。

 さては佐和さん(あのバカ)、魔力を計算してこれを狙っていたな。


『沙羅さんと紅莉栖さん、それぞれ牛鬼の反応を確認願います』

『沙羅です。魔力反応の消失を確認』

『こちらも対象事象の存在消失を確認しました』

『戦闘終了! お疲れ様でした』

 後で巻き上がる歓声。

 でも私は何かしっくり来ない。

 感じた魔力の割に牛鬼が弱すぎる。

 勿論他に敵がいるとかそういう事では無いのだけれど。


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