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第十四話 合宿二日目 その3 面倒は続く

 昼飯を食べたら今度こそと思いつつテントへ魔法移動する。

 テント内で念の為強化した隠蔽魔法を展開し、中にいるのがバレないようにする。

 理由は簡単、今度こそ安眠するためだ。

 エアコン魔法も寒冷魔法も取り敢えず納得してもらうまで教え込んだ。

 魚の捕り方もD班の面々に昨日伝授した。

 もう私の出番は必要無いだろう。

 イベント用の魔物を成長させないためにも、ここは大人しく寝ていよう。

 そんな訳で寝袋に潜り込む。

 お休みなさい……


「あれ、遙いないな」

 隠蔽魔法は機能している模様だ。

「中を見てみたけれど誰もいない」

 英美里さんの声。

「でもテントを開けると温度差で空気が揺れるのが見えるよ。だから見えてなくても遙はいる筈だよ」

 こらポニテ! 余計な事を言うんじゃ無い。


魔法解除(バラ)!」

 ツインテの声。

 大丈夫、今回は強化隠蔽魔法だ。

 この程度の解除では問題無い。

「まだ見えないぞ」

「なら魔法解除(バラ)強化(ベラム)!」

 おいちょい待てツインテ、そこまでするか!

 同じ強化魔法なら補助魔法に関してはツインテの方が上。

 そんな訳で強化隠蔽魔法も残念ながら解除された。


「いたぞ!」

 私は何かの獲物扱いですか! 英美里さん!

「なんの用だ。もう一通り寒冷系魔法も獲物捕りも教えただろ」

「今度は雷・電気系の魔法の講習をお願いしたい。もう生徒も集まっている」

 おい待てそんな話、私は聞いていない!

 そう抗議する間も無く、寝袋から引っ張り出される。

 あとはまあ、朝と同じで……


 ◇◇◇


「今日は大漁だね、お兄ちゃん!」

 花梨先輩のそんな台詞に反応する元気ももう残っていない。

 午後の陽が暮れるまで電気系魔法の講習会をしてしまった結果だ。

 この浜辺から五十メートルの範囲の海は絶え間ない電撃にさらされた。

 結果その範囲一帯の魚が犠牲になった訳だ。

 勿論犠牲になった分は非練習組が色々な魔法を使って確保している。


「タコとかエビとか気絶しても浮かばない獲物も確保したぞ」

 佐和さんがにやにやしながらそう報告。

 エビだのタコだのカレイだのまでしっかりキープされた。


「今年は魔法訓練が順調でありがたいです」

「そう思うなら少しは手伝って下さい」

「適材適所という言葉がある」

 沙羅先輩、あなたも敵ですか!

「とりあえずここまで底上げできれば練習班も解散ですね。合宿後にはそれぞれの班に振り分けた方がいいでしょう」

 まあそれはいいんですけれどね。


「これでもう私の出番は無いですよね。海で覚えるべき魔法はこれで一通りやりましたよね。もう寝てていいですよね」

「あとは実戦訓練だな」

 沙羅先輩がぼそっと言う。


「これだけ皆魔法を使えるなら私一人寝ていても問題無いでしょう」

「それがね、ちょっとだけ予定外の事があって」

 花梨先輩が何かそんな含みを持たせた台詞を言う。

「どういう事だ」


「遙、魔力溜りを確認してみな」

 佐和さんに言われて島の反対側を確認……えっ!

「まずいでしょう、この魔物! こんなの練習用じゃない!」

 GWに倒した中鬼より遙かに強い代物に成長していた。

「練習で皆さん魔力をガンガン放出しましたしね。予定外に成長しちゃって」

 テへ、なんてわざとらしくやっても誤魔化されないぞ。


「今から待避しますか。まだ動くまでには時間があるでしょう」

 見る限り動き出すまでまだ一日程度はかかりそうだ。

「でも私達が逃げたら他の人を襲うでしょうね。隣の島は近いしそこそこ人も住んでいますしね」

「人的被害を出す訳にいかないだろう」

 あの……それってつまりは……


「私達で倒すしかない訳です。明日の朝食でこの件を発表します。明日一日で皆さん戦えるように鍛えましょう」

 まさかと思いますけれど……ひょっとして……

「そんな訳で明日も教官、よろしく頼む」

「なんでそうなるんですか!!!」

 私の声は夜の海に悲しく響き渡った。

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