第十一話 夏休みの前に その3 合宿の準備
合宿以外にも文化研究会は毎日放課後に活動を続けている。
つい最近一年生が更に三人入会したらしい。
ただ残念ながら三人とも女子の模様。
前世でも確かに魔法使いは女性が多かったがここまで人数が偏ってはいなかった。
何でこうなるのという話である。
幸い新人三人は実戦的な魔法使いではないのであまり接点は無い。
練習している班も違うし。
今日は壁やポニテや極悪非道女、百合亜に英美里と模擬戦訓練。
現在は一通り戦った後の小休憩中だ。
「しかし遙の槍や剣の早さは反則だろ。倍速魔法とか使っていないよな」
「倍速魔法なんて花梨先輩レベルでないと使えないだろ。時間系統の魔法は時空間魔法でも一番難しい魔法だしさ」
「男子と女子の筋力の差、って事はないわよね」
「筋力で槍や剣を振り回すのは限界があるからさ。あくまで魔力がメインで腕力は動かす指示とかきっかけ程度に使うだけだ」
「でもここ数ヶ月で遙、見た目にも腕の筋肉ついているような気がするぞ」
「そりゃM2重機関銃のせいだ。あんなデカブツを手持ちで自在に使えるようにしろと花梨先輩が言うしさ」
あんな物騒で重い武器、映画の乱暴な人でも振り回さない。
でも確かに強力無比なので仕方無く使っている感じだ。
水中の敵以外には極めて有効だしさ。
「ところで合宿の水着とかは買い出しどうしますか」
百合亜がとんでもない事を聞いている。
いや勿論私にではなく先輩や極悪女等にだけれども。
「土曜日にでも大阪まで買い出しに行くか」
「駅までバスで十五分、駅から急行で一時間半かかるし遠いよね」
「行って帰って三千円かかりますし」
女子はその辺大変だよなと思う。
ちなみに私は適当な短パンでごまかす予定だ。
それにしても水着か。
改めて考えるとかなり危険な事態かもしれない。
私の女性固化症は毎日放課後の女性密度の濃密な訓練で大分治癒してきている。
最近はポニテに襲われても何とか身体固化(弱)で済むようになった。
それに障害除去に近い効果を持つ後発障害除去も使えるようになった。
障害予防を毎日唱えておけばポニテと百合亜さん二人がかりの不意の攻撃でも少しは対処可能だ。
ただ水着姿にされると……危険かもしれない。
「あと持って行く武装も色々考えた方がいいぞ。サバイバル向きの武装とかあるからさ。ナイフとか細めの直槍とか。ある程度早めに申告しておかないと作るのが間に合わなくなるぞ」
文化研究会には刀や槍等の魔法製作を専門にしている班もある。
材料があれば一週間もしないうちにある程度の武器は作って貰える。
確かにサバイバルで獲物を捕まえる事を考えると、細めの直槍とかはあると便利だ。
魚を突く銛代わりにもなる。
「なら今のうちに色々考えて申告した方がいいかな。槍とか大型の熊手とかオイスターナイフとか」
確かに極悪女の言う通りだな。
「何なら工作班に直接行って確認してみたらいいよ。もうみんなそれらしい物を申告していると思うしね。皆で一緒に行こ」
「そうだな」
ポニテの意見に賛成して、結果全員で訓練用人工空間から離脱する。
4月27日(土)GW開始から毎日更新になります。そしてGW最終日、5月6日に完結する予定です。
宜しくお願い致します。