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第十一話 夏休みの前に その2 夏合宿の詳細

「今日の議題は夏合宿の件になります」

 文化研究会の例会はこうして始まった。

「夏合宿は七月二十七日から三十一日までの五泊六日の予定です。それでは合宿委員の内原さん、後は宜しくお願いします」


 GWの合宿でも出てきた三年の内原先輩が立ち上がって説明を始める。

「今回の合宿は夏休み開始の七月二十七日土曜日から、夏季講習開始前の三十一日まで五泊六日の日程で実施予定です。場所は瀬戸内海の西側に浮かぶとある無人島になります。まあ二年生以上は御存知の場所です。


 合宿内容はサバイバルキャンプ。それぞれ魔法をうまく使って食物を手に入れ暮らしていこうという計画です。なお米と調味料、合宿で不足する野菜類についてだけは会長から一日一回、最低限の差し入れがある事になっています。また真水は一応手に入りますが飲用するには煮沸または魔法消毒した方がいいと思われます。


 なお現場には何も施設はないのでテントを使用してのキャンプという事になります。持ち物類等細かい事項にあってはこれからパンフレットを配りますのでよくお読み下さい」


 そんな訳でパンフレットが回ってくる。

 島内部の詳細地図入りの結構内容がある奴だ。

 真っ先に見るのは班構成。

 うん、期待した私が馬鹿だった。GW合宿と同じだ。

 壁、ポニテ、ツインテ、理澄、英美里、百合亜に私の七人。


 ただ私は今回、ここで希望を見た。

 何とテントが私専用だ!

 テントは三~四人用程度の大きさらしく、だいたいその人数で分けられている。

 そして私は男子という事で寝るテントは専用になっていた。

 これは思ってもみなかった僥倖だ。

 これなら一人のんびり安眠できる。


 よく考えたら持ち物に水着とか書いてあるし、テントを張る場所は夏の砂浜だ。

 着替えのことも考えたら男女別なのは当然だろう。

 何か機嫌というか調子がよくなって他の部分も色々読んでみる。


 サバイバル行動自体は班だけでなく全員の助け合いで行うらしい。

 日中は獲物捕獲または魔法訓練をして、適宜食事当番に獲物を持って行く。

 その獲物の量と質とで次の食事が決まるという訳である。

 なお銛とか網とか釣り道具とかの持込は禁止、獲物は全て魔法か体力、その他現地で作った罠等で捕らえる事となっている。

 テントとか鍋釜食器包丁等必要最低限の物は執行部から支給。

 自分で持って行っていいのは衣服やタオル等だけらしい。

 何となく面白そうな予感すらしてきた。


「結構楽しそうじゃない」

 極悪非道女もそんな事を言っている。

「そうだな。サバイバルそのものはこの世界でやった事は無いけれど楽しみだ」


「でも何かぞっとしない事も書いてあります。後の方のページです」

 百合亜さんがそんな事を言っているので見てみる。

 何と『主な獲物の捌き方』なんてのが図解入りで書いてあった。

 魚の三枚下ろしはまあいいとしよう。

 ただ他に野ネズミとかヘビとかカエルの捌き方まで書いてある。


「でも前世では野ネズミとかは食べただろ、実際」

 確かに壁の言う通りだが前世は前世。

 今の私は現代日本人なのだ。

 更に壁が悪そうな顔をして口を開く。


「合宿先の島は地元は蛇島と言われているんだ。元々は人も住んでいたんだがネズミの大量発生で作物がほぼ全滅、人も他へ移住して無人島になったんだ。その後ネズミの大量発生のせいか蛇がやたらこの島に増えたらしくてさ、再入植出来るか人が入った時はもうここもあそこも蛇だらけだったらしい。だからそれ以来、あの島を地元では蛇島と呼んでいて、誰も近づかないんだってさ」

 おい壁、本当か。

 バラ色の合宿イメージがあっという間に惨憺たるものに変わっていく。


「まあそれも過去のことだけれどね。昨年もあの島に行ったしそんなに変な島じゃないよ」

「一時的に生態系のバランスが崩れただけで、今は普通の島になっています」

 ポニテとツインテが助け船を出してくれた。

 ほっと一安心。

 昨年も行っているならそう問題は無いだろう。

「でもそう言うってことは、蛇島の話そのものは事実なんですね」

 百合亜さん、そこ不安になるから混ぜっ返さないで!


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