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第十話 真の目的 その4 合宿の終わり

 合宿四日目、つまり最終日の朝。

 修羅場は調理室で始まった。

「絵麻先輩は米研いで水入れて炊飯器にセット! 杏奈先輩と理澄はキャベツ刻んで! 百合亜さんと紅莉栖先輩はハムエッグに専念願います。英美里はハムエッグの補助!」


 信用出来る人間が誰かはもうわかっているので、メインはその三人で回す。

 あとは補助だ。

 たかがハムエッグに味噌汁ご飯の朝食でも監視と指示に手を抜いてはいけない。

 朝食だから準備時間が少ないのでなおさらだ。

 私は味噌汁と付け合わせ用キンピラゴボウを作りながら周りを見つつ指示を出す。

 幸い今回は最初から指示を徹底したので前回ほど苦労はしなかった。

 予定通り朝八時前には全員分の朝食を並べてほっど一息。


「他の班はどうしているんだろうねえ」

「きっと半分以上は料理が出来る人がいるんだよ、女子だもん」

「そういう杏奈先輩はいまいちじゃない」

「基本、紅莉栖に全部任せていたしね」

「大丈夫だ。何でも焼けば食える」

「それはもういいから」

 そんな事を話ながら片付けて食事へ。


 食事の前に花梨先輩(ラスボス)からの指示が入る。

「本日でGWの合宿の全日程が終了になります。この後は各部屋片付けていただき、シーツをリネン室内の籠に入れ、十時に外の駐車場に集合になります。

 今回の合宿ではそれぞれ成果が出た方、伸び悩んだ方、さまざまな方がいらっしゃると思います。その反省点を今後の訓練に活かし、楽しく皆で魔力をつけていきましょう。

 それでは皆さん、いただきます」

 朝食が始まる。


 ◇◇◇


 そんなこんなで午前十時過ぎには学校の資料室に無事戻って来た。

 たった三泊四日の合宿だったが随分色々な事があったような気がする。

 何よりもの収穫はフィルメディ王国がまだ健在だという事である。

 我ながら異世界の事なのにかなり気になっていたようだ。

 心のどこかにあった闇が消えたような感じだ。

 さて、愛しの我が部屋で惰眠を貪るとするか。

 何せ合宿中は次の間といえど女子と障子一枚の場所でぐっすり眠れない状態だったから。

 寝言がうるさい奴もいたし。


 そんな訳で帰ろうとした私をポニテが呼び止める。

「遙、ちょっと待って」

「何か用か」

「ちょっと合宿の成果をここで試してみようと思って」

 何だろう。


「攻撃魔法なら練習空間を花梨先輩に出して貰った方がいいんじゃないか」

「ううん、別の方向の成果」

 どんな成果だろう。

 今思うとそこで足を止めてしまったのが私の敗因だった。


「三泊四日の合宿の成果、確認するよ。百合亜いい?」

「本当にやるんですか」

「勿論だよ」

 何だ、何が始まるんだ。

 身構えようとした一瞬だった。


「遙の女子固化症の治癒状況、確認だよ」

 前後から思い切り抱きつかれた。

 おいちょっと待て! 今は抵抗魔法をかけていないぞ!

 ちなみに身体固化(最強)は呼吸も呪文詠唱も困難な状態。

 苦しい、動けない。

 視界がブラックアウトしていく。


「結果的にこっち方面はあまり成果はなかったようだね」

 そんな声が聞こえたような聞こえなかったような……

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