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第六話 何気に皆さん結構強い その3 初日はこれで訓練終了

 ポニテは誘導炎弾を連射しまくっている。

 単純だがえげつなくて効果的な攻撃だ。

 何せどんどん数が増えていく。

 そのうち避ける場所すら無くなりそうだ。

 攻撃を仕掛けるにも詠唱の時間が取れない。

 炎弾を避ける為の連続空間技の詠唱だけで精一杯の状態だ。


 手間はかかるが仕方無い。

 炎弾のコースにあわせて連続移動する場所をずらしていく。

 十回ほどの移動で全ての炎弾の軌道がほぼ同じ円軌道になった。

 よし!

氷壁(ダディ)連続錬成(クール)!』

 壁そのものは弾より弱いが連続で作ってある分時間を稼げる。

 弾のコースが似たような軌道になっている今なら詠唱四回分くらいは充分だ。


風衝撃弾(ベンザ)誘導(エース)連射(ゴールド)!』

 三発を予呪文で貯めて短距離移動魔法で逃げて。

 あとは連続移動魔法で移動しながらポニテに接近して予呪文を解放。

 ポニテも私と同様連続移動魔法で逃げたが三回目に風衝撃弾に追いつかれた。

「うーん、空間魔法への慣れだね、これは」

「だな」

 でも流石に二年生、それも実戦をやっている相手は強い。


「それで高浜先輩、こっちの組の練習は何を中心にする?」

「杏奈先輩、紅莉栖先輩と名前で呼んでくれた方がいいな、何せ双子だからわかりにくいし。

 まずはこっちも百合亜ちゃんと同じで魔法を素早く数多く出す練習かな。この世界は魔法が発動しにくいし、魔力の効きも悪いからね。強い魔物が出てくると結局は魔法勝負になってしまうし。基礎訓練で手数と威力を増やすのが一番だよ」


「私も同じ意見です」

 紅莉栖先輩がそう言って頷いた。

「まずは二人とも予呪文無しの連射訓練からですね。それだけで身体への魔力の通りもよくなりますから。ある程度出来るようになったら筋力を使わずに魔力で身体を動かす練習もしてみる感じですね。今回の合宿はそれで充分かなと思います」

 なかなか堅実かつ正しい意見だ。

 そんな感じで結果的には非常に基本的な訓練をする事になった。

 ただその前に。

「私も模擬戦な」

 そういえば壁はまだだった。


 なお壁はなかなか強かった。

 槍と魔法を交互に使い隙がないスタイル。

 結局は誘導弾の数で押し切るしかなかった。

「誘導弾三十連射は反則だろう!」

 そうしないと倒せなかった壁が悪い!


 ◇◇◇


 昼食の後も訓練だ。

 同じ訓練ばかりやると飽きるので適宜格闘戦とかも交えつつ訓練。

 意外だったのが全員かなり真面目に訓練していた事だ。

 赤塚さんは真面目なのはわかっていたが極悪非道女も二年であるツインテもくそ真面目に練習を続けている。


「それにしても何で遙、そんなに魔法に慣れているの。この世界では練習する機会も実際に使う機会も無かったと思うのに」

 極悪非道女がそんな事を言う。

「転生したのを思い出した頃、色々訓練して試してみたからな」

「何で」


 フィルメディに戻れるかを試すためにだ。

 魔力を上げれば戻れるか、足りない力を魔法陣等で補えないか。

 これでも一等魔法技術士までやった身だ。

 理論も方法論も一通り知っている。

 そんな訳で思いつくことはほぼ全部試した。

 入院中の暇な時間はほぼ魔力を練る訓練に費やした。

 動けるようになってからは屋上を使って魔法陣を幾つも描いたりしてみた。

 結果気づいたのだ。

 私の知識と魔力だけではどんなに鍛えてもフィルメディには帰れないと。

 魔王が蘇った、もしくは蘇りつつあっても助けには向かえない。

 そんな絶望だけが残った訳だ。


「まあ色々やって失敗して、そして悟ったわけだ。睡眠こそが至上だってな」

「何でそうなるんだ!」

「委細省略」

 あの絶望まで伝える必要は無い。

 極悪非道女もおそらく転生者。

 かつていた世界への帰還の希望を持っていないとは限らないから。


 そしてその時はいきなり来た。

 不意に身体の動きが悪くなる。

 そうだ、私は本来女性がいると固化する体質だった!

 魔力で無理矢理姿勢を整え倒れないようにする。

 その様子にツインテはすぐに気づいたようだ。

「遙の状態異常魔法も解けたし、今日は終わりにしましょう」

「そうだね。でもこの動けないのはどうする?」

「放っておけば自分で魔法移動とかするし心配無いと思うわ」

「そうだね」

 そんな訳で私を残して皆さん合宿場へ。


 確かに放っておいてくれた方が回復が早いのでそれが正解だ。

 一足先に部屋に戻って飯まで仮眠でもするかな。

 そんなわけで私は短距離移動魔法を起動した。

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