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第四話 GWの不穏な計画 その1 平和の回復

 極悪非道女こと友部理澄に壊された教室内の平和。

 それを取り戻すには二日半かかった。

「そんな訳で女は怖いぞ。無理矢理怪しい研究会に入会させられそうになった」

 購買部で買ったパンをかじりながら私は力説する。

「そういう訳でおじゃったか」

 夜ノ森はやっと納得してくれた模様だ。

「そんな訳で授業終了後は当分、ダッシュで逃げる事になるが了承して欲しい」

「わかった。大変だな松戸も」

 亘理や山下も頷いてくれた。


 私が説明した内容はこうだ。

  ○ 三年の先輩に私の知り合いがいて、研究会に来いと言われている。

  ○ 私がなかなか行かないので、昨日は手下の友部を使って拉致に来た。

  ○ これからも逃げるので帰りが早くなる。

 適当な嘘のつもりだったのによく考えるとほぼ事実だ。

 強いて言えば帰りが早い理由が嘘。

 寮まで逃げ帰るのでは無く、ダッシュで人気の無い処まで移動した後、短距離移動魔法で実験準備室まで移動する。

 何せ逃げると何をやられるかわかったものじゃない。


「でもそれなら他の研究会に入るのはどうでおじゃる?」

「残念ながらこの学校、研究会や同好会の兼部はOKだからさ」

「なるほど、結局は逃げるしか無い訳か」

 騙していると思うと心が痛いがやむを得ない。

 せめてここのささやかな平和だけは守りたい。

 それが私のせめてもの望みだ。


 さて、今日は例会の日。今から非常に気が重い。

 最近は赤塚さんと個別練習をしていたので大勢と顔を合わすこと無く済んでいた。

 赤塚さんは大人しいし私が嫌がることをしないので気分が楽だ。

 でも例会だとどうしても同じ空間で何人もの女子と顔を突き合わせる事になる。

 極悪非道女とかポニテとか壁とかラスボスとかだけでは無い。

 例会はほぼ全会員が出てくるので人数が二十人くらいにはなるのだ。

 その中にいなければならないかと思うと非常に気が重い。

 いっそ自爆魔法を使って例会中は気絶していようかと思うくらいだ。

 それはそれで怖い事になりそうだからしないけれど。


 六時間目終了を告げる鐘が鳴る。

「それじゃまたな」

「無事に逃げるでおじゃるよ」

 若干の筋力強化魔法を使って教室をさっさと脱出。

 昇降口に入った処で前後を確認して短距離移動魔法を起動する。

 無事というか残念ながらというか理科実験準備室前に無事到着だ。

 三回深呼吸して扉を開ける。

 既に例の怪しい空間が展開されていた。


「お早いですね。私も来たばかりです」

 花梨先輩(ラスボス)がそんな事を言う。

「逃げても酷い目に遭いそうですし」

「でもその女性恐怖症は早く治した方がいいですわ。生活も大変でしょう」

「教室は何とかなりますし、会話も相手が一人なら何とか可能ですから」

「結婚とかそういう考えは無いのでしょうか」

「惰眠生活の邪魔になります。将来は短時間予知と投資で稼ぎ、あとは寝て暮らすつもりです」

 本気でそのつもりだ。

 私の魔法は二時間くらい先の事象までは読むことが出来る。

 だから大学生になったら競馬等でちまちま資金を貯め、後はFX等のデイトレードで増やして生活するつもりだ。

 会社勤めをせず、一日数時間程度のデイトレードをし、後は寝て暮らす。

 最高じゃ無いか!


「かつての松戸さんを知る人が聞けば悲しみますよ」

「もう帰れないし、魔王も出現しているだろうし、ひょっとしたら存在しないかもしない世界ですけれどね」

「そうでしょうか」

 花梨先輩(ラスボス)が一瞬悲しそうな顔をしたように見えたのは気のせいだろう。


 扉が空き、女子どもが入ってくる。

 私は固まりつつも最適な席を取ろうと試みる。

 この場合の最適な席とは壁やポニテから離れていて、片方の隣が赤塚さんの席。

 赤塚さんは私に無茶をしないからその分安心できる。

 固まりつつある身体を魔法で無理矢理動かして何とか予定通りの席を確保。

 一息ついたところで例会が始まった。

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