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第三話 極悪非道女とラスボスと その2 風魔法教習中

 ドナドナ状態のまま理科実験準備室へ。

 なお今回の室内は実験準備室のままだ。

 女子密度の高さに硬直している私と申し訳なさそうな赤塚さん。

「すみません松戸さん、ご無理を言ってしまったばっかりに」


「そんな訳で遙さんと百合恵さんは別の練習場にご案内しましょう。女子が一人なら何とか遙さんも会話が出来ると思いますから」

 花梨先輩、既にそこまで把握済みか。

 今回の拉致の件も噛んでいるようだったし、この人こそじつはラスボスではないのだろうか。

 よし今度から花梨先輩をラスボスと呼ぶ事に決定。

 勿論面と向かっては言えないけれどな。


「それでは練習場にご案内します」

 ふっと浮遊感の後景色が変わる。

 どこかグラウンドとか山とかかと思ったら違った。

 空間魔法で作り上げた完全人工空間だ。

 射撃場とかがあったらこんな作りだろうと思わせるような長細い空間。

 二十メートル毎に板が立ててあり、それが五百メートルまで延々と続いている。

「その板に穴が開く程度の攻撃なら、一本ただらを倒す事が可能です。それでは後の訓練は遙さん、宜しくお願いしますね」

 そう言ってラスボスは姿を消した。

 全くとんでもないレベルの空間魔法使いだ。

 まさにラスボスの名にふさわしい。


「それでは申し訳ありませんけれど、宜しくお願い致します」

 一方で赤塚さんは本当に申し訳なさそうに縮こまっている。

 うん、他の女子に比べればまだ好感が持てる態度だ。

 なら少しは真面目に教えてやるとしようか。


『ならまずは魔法で一番近い的を狙ってくれ。倒すつもりで』

 まだ固化ダメージが残っているので魔法音声だ。

 でも赤塚さんは素直に頷き、呪文を唱えて右手を振り上げる。

 ドン!

 二十メートルの処の板が大きな音を立てた。

 でも壊れてはいない。揺れただけだ。

「これが今の精一杯なんです」


 なるほど、状況はわかった。

 まず魔法の集中率が悪い。

 だから空気が無駄に広がってしまっている。

 結果威力も無くなってしまっている訳だ。

 こういう時は小石を使って練習するのが定石。でも人工空間だから石など無いか。

 そう思ったら足元にちょうどいい大きさの小石が出現した。

 何という便利な空間を作るのだ。流石ラスボス。


 何とか動けるようになったので指導開始。

「なら最初の練習方法を説明する。まずは投げられる程度の小石を拾って、投げる」

 最初はただ投げるだけ。当然板には当たるが小石が板を壊すまでには至らない、

「こうやって投げた小石に風魔法をぶつけて加速してやる」

 今度は投げると同時に石に意識を集中し風魔法を当てる。

 石は途中で加速して板を突き抜け穴を開けた。

「まずはこの練習。石を加速して板に穴が開くまで」

「わかりました。でも石は?」

「あると思えばでてくる」

「わかりました。あっ出てきた」

 赤塚さんは素直に練習を始める。


「投げても板まで石が届かないんですけれど」

「風魔法で加速させればいい。一度でうまく行かないなら何度でもやってみる」

「わかりました」

 腕力も無いけれど素直なようだ。よしよし。


 さてこの練習で狙っている目的は三つある。

 一つ目の目的は魔法効果を集中させる練習。小さい石に風魔法を当てることを繰り返すことにより、魔法効果を集中させる癖が身につく。

 もう一つは魔法発動の早さと正確性の練習。投げた石に素早く魔法を発動させて当てる練習で、実戦で使えるような早さと正確性を育てる。

 最後の目的はこの技そのものの習得。風魔法は空気という軽いものを扱うのでどうしても威力が弱くなる。でも小石を使えばそれだけで威力がかなり上がる訳だ。

 私もかつてこうやって風魔法を練習したものだ。勿論前世での事だけれども。

 その時の事を思い出しながら適宜励ましなり忠告を与えたりするよう心がける。

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