三面六臂2
打ち合わせ通り、三國家の軍勢5千は益子城を発ち、真岡城へと進軍を開始した。
予定では真岡城を全軍で速攻突破し真岡城の西で宇都宮軍と対峙するつもりだ。
今回は龍撃隊の予備隊も連れ100人体制としている。
この戦に勝てるかどうかに三國家の未来が懸かっている為だ。
桔梗城一つを手に入れてから 数ヶ月でこの決戦に至るのは急ぎ過ぎだとは龍も思っている。
しかし このハイペースで進まないと龍の代で全国を制覇するのは難しいだろう。
仮に三國家の二代目、三代目が天下を取った所で
龍にしてみれば自分がフェードアウトした段階でゲームオーバーの様な物だ。
『龍さん、宇都宮の人達はどうするつもりですか?』
幸村が龍の乗る馬に近付き話し掛ける。
『ん?どうするとは?』
『益子殿や笠間殿の様に家臣に取り立てるつもりですか?』
『そうだね、俺は味方も含めて誰も殺すつもりなんかないさ。それに今はまだまだ人が足りないからね。武将はいくら居ても良い』
『敵方だった人に権限を与えると背かれる可能性もありますよ?』
『その時はその時ださ、人間合う合わないあるしね。まぁ合わないからって殺す事はしないけど』
甘すぎるかも知れないが、人が足りないのも事実だ。
『…見えて来たかな』
真岡城が龍の視界に入った。
そして真岡城の手前に兵士が展開しているのも見える。
『展開してるのは3千程でしょうか、いずれにしろ予定通り真岡城の兵だけですね』
『うん、予定通りだ』
『幸村、では作戦通り頼むよ。スケさん交戦準備!作戦案2で良いかい?』
『龍殿、それが宜しいかと。では全軍交戦準備を整えて参る』
資正は笠間や益子などの諸将に配置と作戦を告げる為に伝令へと命令を伝える。
『さて…まずは初戦だ。雫、怪我だけはするなよ』
『…私は大丈夫です。龍様こそ怪我だけはなされない様に』
『俺こそ大丈夫さ。…たぶん俺 呂布より強いんじゃないかな?そのうち俺の姿と龍撃隊を見たら敵が逃げ出すかもよ』
大事な初戦だが、龍は冗談を言う余裕がある。
まぁ 本人は冗談だと思ってるのかは分からないが。
『…呂布と言うのが何かは知りませんが、人間で龍様より強い方が居るとは思えません』
さらに雫の発言は冗談なのか本気なのかもっと分かり難い。
『人間で…ってかい』
それを聞いて龍は笑っている。
龍は雫の言葉を冗談と捉えた様だ。
『龍殿、準備が整った。全軍いつでも行ける』
『スケさん了解、よーし…んなら派手に行こうか。全軍進軍開始!』
龍の号令と共に三國軍は真岡城守備舞台に向け移動を開始した。




