三面六臂
『益子様いらっしゃいませ、城主殿は中にお出でです』
『うむ。お邪魔する』
龍と益子勝宗の二人は予定通り真岡城へと伺った。
勝宗の実の息子、芳賀高定とは実際に顔を合わすのは初めてだ。
『初めまして三國龍と申します』
『初めまして、芳賀高定と申します。…敵方である貴方が一体何の用事で此処へ?』
『芳賀さんにウチの配下になって貰おうかと思ってね』
『それはまた…いきなりですね』
高定の眉がピクっと反応している。
『高定よ、一度だけ言うが この三國龍と言う男は大物だ、ワシらでは勝ち目はない。お前もすぐに見惚れるぞ』
『…父よ、例え勝ち目がないからと言って、そこで逃げるのは男じゃないと言ったのは誰だ?』
『うむ。しかし、それは相手が普通の男の時の話しだ』
『…三國殿は普通じゃないと?』
『普通じゃないな、あんな戦の仕方は初めて見たわい』
あまり普通じゃない普通じゃない言われてどう反応すれば良いのか困るが
よく考えたら普通じゃないわなと龍は考え直す。
『…まさかと思うが三國殿は真田に居た遊撃隊の出ですか?』
『ん?まぁ…そうね、俺がその遊撃隊を作って率いてたし』
龍は意外とまだ此処までは噂は届いてないのかと感じていた。
『なるほど…あの爆撃には驚いた。成す術が無かった。まさかあの時の隊長が此の真岡の近くで城を持っていようとは…』
高定は思い出す。龍撃隊によって一方的に射撃され大混乱に陥ったあの戦を。
『宇都宮さんに恨みはないんだけど、俺も武田を倒すって近い目標があるからさ』
『宇都宮家を吸収して武田と戦うつもりと…遠い目標とは?』
『そら天下統一さ』
(この男…正気か?)
『そうですか、それは立派だ。しかし我が宇都宮としてはその近い目標とやらを達成させるつもりはない』
当然の反応だ。
家格も支配地も宇都宮の方が数倍、数十倍上だ。
たまたま一度負けた事があるとは言え
次も格下に負けてやる道理はない。
『うん、それが普通の反応だよね。よし、なら戦だ』
『よろしい、では我が宇都宮家の強さをお見せするとしましょう。』
『んじゃ 数日後に今度は兵と一緒に来るから宜しく』
龍と益子は城を出る。
益子にとっては思った通りの反応であったが
それでも一瞬だが高定が弱気な反応を見せた事に驚いていた。




