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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第三章 雲龍風虎
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乾坤一擲3

『本当に所領を安堵してくれるので御座いますか?』


笠間城主、笠間綱家は資正に捕縛され龍の目の前に連れて来られていた。



『そりゃ 笠間さんに恨みなんかないしね』


目の前に座らされて居る綱家の目線の高さに合わせ龍も屈んで話す。



『本当はイチイチ戦なんかしないで、無条件で支配下に入って貰えると助かるけど、良く分からん奴に何の抵抗もせず屈する訳ないでしょ?』



『いや…しかし 三國殿がこれ程に戦が強いと知っていれば戦っても無駄な事です』


それを周囲の領主達に知らしめる為の戦でもあるのだが。



『うん。まぁ このまま笠間さんは此処の城主で居てよ、ただし俺の配下としてね。三國家としての細かい取り決め等は後日教える』



『分かり申した。宇都宮を離反するも独立勢力としては此処が限界で御座った。これから宜しくお願いします』




『…龍様、宍戸義綱と名乗る者が面会したいと申し出て来ています』


雫が龍の傍に寄り耳元へ小声で伝える。



『(宍戸?)分かった、すぐ行く。スケさん、笠間さんの縄を解いておいてくれ』


『分かり申した』






龍は宍戸義綱と名乗った男の元へ行き挨拶をすると


『拙者はすぐ南に宍戸城を構えている宍戸義綱と申します。今の戦を眺めさせていただいて居りました』



(あぁ…そういや幸村が言っていたな)


『ん?そうですか』



『最近、関東は荒れて居ります。常陸の佐竹、下野の古河公方、南西からは北条、西からは武田…そして三國殿』



『ウチはまだまだ弱小だから、その面子の中には入れないかなぁ』



『いえ、そんな事は御座らん。今の戦ぶりを見たら、おそらく宇都宮、佐竹…関東の大名は挙って三國殿の下に付くであろう』



『そういうつもりだけど、まだまだそこまではね』



『うむ…我が宍戸家は三國殿の傘下に入りたいのです。小原城の里見家も誘う故なんとかお願いしたい』



(よしよし…派手に戦い、寛容に接する。この効果が早速出てきたか)

龍は思い通りに順調過ぎて内心ニヤついていた。



『勿論 是非お願いします。佐竹に攻められる事は絶対にないから安心すると良いよ』



『…なるほど、何か裏取引があるので御座るか、その裏取引が在る間に早い所 勢力拡大をしようとしてるので御座いますか』


宍戸は三國家にとって不利になる様な取引を

佐竹と結んで居ると思い込んでいた。



『ん?あぁ…まぁそうだね』


しかし実際は公表してないだけで佐竹義重は龍の家臣になると言う約定を結んで居る。



『では、拙者は里見を連れ桔梗城に正式に挨拶に伺う故、宜しくお願いします』



『うん、頼むね』



笠間城の後始末を資正に任せ、龍達はそれぞれの城へと帰還した。

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