乾坤一擲2
龍の軍勢は笠間城の大手門の前まで到達していた。
ほぼ連戦だが、負傷者が少ないため兵の疲れはそれほどでもない。
むしろ戦場は魔術の訓練の成果を実践として試せる場であり、兵一人一人は意気揚々と言った所だ。
『隠密射撃イチ!』
いつもの様に龍の掛け声と手振りで龍撃隊が大手門と付近の矢倉に弓を構える。
龍が手を振り下ろすと魔術砲が目標に向かいレーザー光線の様に一直線に放たれ、轟音と共に目標物が崩壊する。
『幸村隊突撃!』
門が崩れまだ土煙が立ち昇っている中、幸村の合図で幸村隊が城内へと突入して行く。
少し時間を置いて今度は資正隊が要所を制圧し幸村隊を追い掛けて行く。
龍撃隊は雫を先頭に途中の門や矢倉を破壊しながら幸村隊のすぐ後方に付き従っている。
『なんと鮮やかで、なんて破壊力だ。こんな軍勢に勝てる訳がない…』
勝宗は つい数日前に城を落とされ龍の配下となった。
敵側からも味方側からも龍の戦い方を見たのだが、呆気に取られるとしか言いようがなかった。
『益子さん、飯村さん…二人ともボーッとしてどうしたの』
未だ呆気に取られている二人に視線を移し
龍は笑っていた。
『いや…龍殿、お主 本当に武田家に一度負けたのか?』
飯村備前守が疑問に思うのも無理はない。
しかし圧倒的な兵力差の前には龍撃隊や龍が、いくら強くても勝ち目などなかった。
『昨日行った通りマジさ。宇都宮、古河足利まで倒したら次は武田と戦うつもりなんでヨロシク』
言っている内容は普通に聞けば夢が大きすぎると思うのだが、今の龍の戦い方を見てしまうと
武田と戦うまでが近い未来の事の気がしてならないと二人は考えていた。
『分かり申した…では あまり呆けていても手柄がなくなってしまうので拙者が笠間を討ち取って来る』
『いや勝宗様、その手柄は譲れませんぞ』
『何を言ってるか、俺は元とはいえ主君だったのだぞ。ここは俺を立てろ』
『いや、それだけは出来ませぬ』
『…仲良いの分かったから早く行きなさいよ』
『あ、こりゃマズい、益子隊出陣!』
『飯村隊、出陣!』
なんだかんだ仲良いのねと二人を見て龍は笑っていた。




