乾坤一擲
益子氏を、ほぼそのまま吸収する事で龍の支配地は広がった。
次に切り崩すのは何処かと考えていたが
桔梗城から南に5時間の距離に笠間城主、笠間綱家と言う者が居るらしい。
この笠間氏も宇都宮の配下なのだが、主君 宇都宮家との間に不穏な空気が流れてると
益子勝宗から情報を貰った。
宇都宮家が家臣の統制を取れないのか
はたまた関東の国人衆が荒くれ者なのか
それは分からないが、まるで天が龍に味方しているかの様に都合良く出来ている。
『ーと、言う事で次の目標は笠間城だ。笠間城は佐竹家の支配領域と隣接してるし敵の援軍は来ないと思う』
桔梗城の広間に地図を広げ
龍、幸村、資正、益子勝宗がそれを囲んで居る。
『笠間城までは、桔梗城から6里程度でしょう。兵は2千程度。笠間城より南に宍戸城の宍戸氏、小原城の里見氏がありますが どこの勢力にも属していない様です』
幸村は佐助の忍びを使って集めた情報を話す。
人前に出るのが佐助と才蔵だけで、他にも幸村が使える忍びは居たようだ。
『では3日後に木幡城に集合し進軍すると言う事で良いですな?』
龍は大名と言う事になるが、軍議の議長は資正に任せてある。
年齢と経験を考えると妥当な判断だと龍は思っている。
『綱家を打ち倒せる事になるとは考えもしなかった。これこそ幸運』
『益子さん、笠間って人が嫌いなんかい?』
『あぁ、嫌いだ。彼奴を倒す為に宇都宮から離れたかった様な物だ』
(ん?意味が分からん…)と思ったが深く聞くのは長くなりそうなのでやめておいた。
『では、ここを吸収出来たら後は宇都宮本隊を正面から叩くだけになると思う。ただ命だけは大切に、死にそうになったら無理せず退いてくれ』
『『ハッ!』』
『よし、それじゃ解散。3日後に会おう』
つい数日前に城を落とされ三國家に入ったばかりの勝宗がヤル気になってるのは
どう言う事なんだ?と龍は思っていた。




