一利一害2
秋ーー。
予定ではここから怒涛の1年が始まるのだが、龍と雫、龍撃隊は魔術の訓練がてら近隣の村の収穫を手伝っていた。
『しかし、義重の所があんなに鉄砲を持ってるとは思わなかったなぁ』
『…金山のお陰でしょうか?』
『そうらしいね、うちの裏山も魔術で掘ってみるかな』
『金と言うのは、そんな簡単に出るのですか?』
『さぁ?どうなんだろね?炎術と土術…雷術?この辺りでイケそうな気はするんだけどなぁ』
龍に化学知識などがあれば出来るかも知れないが、悲しい事にそんな物は全くない。
仮に掘った石を溶かしたとしても、それからどうやって金だけを抽出するのかも分からない。
…天性の勘と諦めの悪さで何とかなる可能性はあるかも知れないが。
『まぁ 安く火薬を譲って貰ったし、暫くは足りるか』
『そうですね…火薬を矢に取付ける内職が溜まっています』
冗談のつもりで言ってるのだろうが
雫の無表情に慣れてない人間が聞くと少し威圧された様に感じる。
『あぁ そうだな、いずれにしろ昼間は収穫の手伝いで魔術訓練してるし夜は皆んなで内職だね』
『はい…』
あと数日もあれば収穫が一段落するだろう。
そうなると戦の刻だ。
目標は益子城、飯村備前守の主君であり
一応は宇都宮の家臣と言う事になっている。
築城途中だった木幡城を除けば初の侵略になる。
派手に戦って周囲の国人衆に三國家の強さを見せたい所だ。




