孤立無援2
桔梗城から南に1時間半程の距離に宇都宮家臣の益子氏が新たに城を築いていると連絡が入った。
そんな近い所に敵勢力の城を築かれるのは迷惑以外の何物でもない。
『龍殿、進軍されるか?』
資正の提案に断る理由などない。
『よし スケさん、千の兵で邪魔しに行こうか』
『了解した。では準備をするので今暫く』
『龍さん、僕も行きたい』
幸村が僕と言い出した事には驚いたが
戦に参加する事については、そう来るだろうなと思っていた。
『分かった、では幸村には450の兵を指揮させる。これから行く戦場の背後に城があるから、そこから出てきた敵兵と戦って貰うかな』
『よし!龍さん任せて下さい。必ず敵兵を止めて見せます』
背後の敵兵と戦って貰う…と言っただけで
敵兵を足止めさせるのが目的と理解する辺り
流石 真田昌幸の息子だ。
いや 流石 真田幸村と言ったところか。
桔梗城には弥五郎と才蔵を残し
龍、幸村、資正、雫、佐助で敵の築城地まで行く。
『見つけました!この先に敵築城地を発見』
斥候からの報告を聞き、資正と幸村にそれぞれ命令を下す。
『んじゃ二人とも頼んだよ』
『ハッ!』
『了解!』
龍は資正の部隊と共に敵軍と戦う。
敵軍と言っても純粋な兵士は百人前後で後は大工仕事をしている国人の野武士部隊だと予想している。
『俺と雫が魔術砲を撃つから、それを合図に攻め掛けよう』
敵城が見える範囲まで来てみると
意外と工事は進んで居た。
『雫、門を狙うぞ』
『はい…』
二人は弓を構え、正門に矢を向ける。
同時に魔術砲を放つと爆音が鳴り響き
門は粉々に砕け散る。
(なんて威力だ…)
資正は魔術砲に驚いたが
すぐに我に返り、城内に侵入を開始する。
敵が来るかも知れないと思っては居ただろうが
こうもあっさり門を破られ侵入されるのは想定外だった様で
数十分で城内を制圧出来た。
『お疲れさん、あっさり終わっちゃったね』
『龍殿の魔術砲とやらの威力が凄まじいせいでしょうな』
資正としても想定外だった。
龍が戦に参加しても、これ程の兵器を持っているとは…と。
『伝令!幸村様、交戦中!敵は飯村城の部隊500と思われます!』
『よし、ここの防備はスケさんに任したよ、工事の続きをやってウチの城に出来ないかな?』
『…なるほど。では 今後の敵は益子氏で三國家としては南に拡大する方針ですな?』
『そうね、喧嘩売られたし買ってやるさ。んじゃ、俺は幸村の方に行って来るよ』
『ハッ!此処はお任せを』
龍と雫、五十の部隊は山を降り川沿いに居るはずの幸村の部隊に向け、移動を開始した。




