有為無常2
兵士の訓練は順調だ。
太田資正の意見を聞きながら、隊列、陣形などの練習をしていく。
『スケさん、偃月の陣ってどんななの?』
『スケさ…いや…偃月は三日月の様な形で大将と精鋭を陣の前方に配置する。攻撃力と士気を高める陣と言われてるが、大将が先鋒となって戦うのは危険だ』
太田資正はスケさんと言われ動揺をしたが
龍に説明をする。
龍としては家臣と言うのは初めての経験なので年齢も近いし友達の様に接している。
『大将が先鋒?おぉ…俺に向いてる陣形だね』
どんな状況になっても死ぬ様な気が微塵もない。
むしろ味方に死なれたくないから好都合とまで思っている。
『ぬぅ…いや龍殿ならそう言うとは思ったが…』
龍個人の武力は資正も認めている。
しかし戦はそれとは別物であろう、とも思っている。
『大丈夫さ、俺は絶対に死なないから』
『むぅ…まぁ それは戦の時に考えるとしよう』
『そういや、神仙丸って買えたかな?』
魔術スキルを連発するには神仙丸の存在が重要だ。
龍にとっては鉄砲よりも欲しい資材である。
『あぁ、弥五郎が良い巫女を発見したと言っていたが…』
『おぉ、マジ?良かった。後でその巫女さんの所に行ってみようかな』
『あぁ…行ってみると良い』
教えられた神社の前に着き、建物を見てみると結構年季が入っている。
桔梗城もそうだが、この地は古くからあるのだろう。
『こんちわ〜…』
『はい!こんにちわ!』
『うお!?』
誰も居ないのかと窓口に声を掛けてみたが
たまたまその場に屈んで仕事をしていたらしく
不意に立ち上がった巫女の姿に龍は驚いた。
『ハハ…少しだけ驚いたよ』
『へ?あぁ すいません、驚かせちゃいましたね』
『いや…いいさ。それより ここって神仙丸を作ってるのかい?』
『はい、ウチでも作ってますよ!スサノオ様を祀ってある所で作られますので』
『ん?スサノオ?そうなんだ』
この世界の設定は良く分からないが
スサノオが祀られてる神社をどう見極めるかも分からない。
神社と言うのは奥が深いのか。
『俺は桔梗城の城主の三国龍と言う者なんだけど、たぶんこれからも大量に仕入れて貰う事になるからヨロシクね』
『え、城主様ですか!? ここ…こちらこそヨロシクお願いします』
今度は巫女が驚き慌てだした。
上田でもそうだったが巫女は顔で選ばれてるのか?という程に、綺麗な女の子だった。
『うん、じゃぁ 今日は挨拶に来ただけから またお邪魔するね〜』
たまに目の保養に来たいなと龍は思いながら城に戻った。




