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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第三章 雲龍風虎
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一目瞭然2

『うっし、何処からでもかかって来なさい』


龍は資正を舐めてる訳ではない。

上泉信綱以上の強さを持つ人間はそうそう居ないとは思ってはいるが。



『城主よ、本当に城主は素手で此方は刀で良いのか?』


魔術を使うとは言っても、資正には魔術と言うのはあくまで刀や槍の補助的な利用法しか知らない。



『いいさ、当たらないから。ただちょっと資正さんには気絶して貰うかも』



(そんな訳がない…)

資正は武人の誇りを貶された様に感じ少しムッとしている。



『城主よ、では行くぞ』



その言葉に合わせ龍は身体に雷、風、水術の魔力を込めブースト状態になる。

さらに両手に雷術を仕込み、いつもの態勢を整える。




資正が正面から素早く斬りかかるが

龍は既にそこに居ない。居たのは水術が作る霧の様な残像だ。


(!?…消えた!?)



『そこか!?』

資正は振り返り、掌から炎術を撃つが

またも龍には擦りもしない。



『おぉ…資正さん炎術を使って来るんだねぇ』


声がした方へ資正はすかさず斬りかかるが、相変わらず龍は消える。




『どうなってるのだ…』

魔術という物を知っては居る…が ここまで不可思議な術など知らぬ。

資正の額を水滴が流れる。




『当たらないしょ?』



すると正面に突然、龍が現れる。



(…こんなもの魔術ではなく妖術ではないか)

資正は恐ろしく感じた。

この様な術を使う男と戦場で会ったら

生きて帰れる保証がない。

死ぬのが怖いのではない、何も出来ず犬死にが怖い。



『…参った。城主殿には勝てる気がしない』




『うん。皆さんちゃんと見てたかな?今使ったのは魔術を複数同時に使ってるのさ』


習いに来ていた村人は皆一様に唖然としていた。

こんな凄まじい魔術スキルがあるのかと。




『城主よ、魔術を複数とはどういう事だ?』



『うん、基本的に皆んなは魔術を単体でしか使わないでしょ?そうではなく合わせて使うのさ』


例えば 今のブースト状態は

風と雷術を早く動ける様になるイメージで身体に込め、さらに水術を霧になる様に使う。

両手には雷術の魔力を込め、触れるだけで感電する様に電気を帯電させる。



『まぁ…説明すれば、こんな感じ。今みたいな同時に3つ4つ魔術を使うのは慣れが必要だから、まずは魔術に慣れる事から始めるのが良いさ』


口で説明するのは簡単だが

その為には【電気】【霧】などの単語の理解や電気、水の科学知識(と言う程のものではないが)など理解するべき事は沢山ある。



『なるほど…城主殿、俺も暫く厄介になりたいが良いか?』



『あぁ、良いよ、北条に仇打ちをするのが目標なんでしょ?俺も那須、宇都宮、古河足利を倒したら北条と武田に挑むつもりだしね』



『なんと!?佐竹家はそこまで大望があったか』



『ん?佐竹家とは関係ないさ、俺個人の目標だからね。…義重は俺の家臣予定らしいよ』


ハハハっと龍が笑うが

周囲の人間は、さらに唖然としている。



『城主殿が凄まじ過ぎて佐竹殿がそう言う気持ちも分かる…しかし此処に居ると北条に仇を…』



もう一人ブツブツと呟いて居る人間が居た

先ほどの少年、弥五郎だった。


『…城主殿!俺も家臣に加えて下さい!なんでもします!』



『おぅ、そうか弥五郎は足利家に仇打ちしたいのかい?』



『はい、城主殿のその強さがあれば実現出来そうです!』


弥五郎は目を輝かせ興奮している様子だ。

午前中までは全てに諦めていたのか少し影のある感じだったのだが。



『…。すまぬ城主殿、やはり俺も厄介になるだけではなく、家臣の末席に加えていただきたい。この身は城主殿に捧げる覚悟だ』



深々と頭を下げた二人を見て龍は


『いや…良いけど、俺の事は城主殿でなくて龍って呼んでよ、三國龍(みくにりゅう)って名前があるからさ』


と、返事をする。城主になったばかりで人手不足な現状、仕官したいと言う希望者を断る訳がない。



『ハッ!有り難き幸せ!』

『有難う御座います!』


二人はもう一度 深々と頭を下げた。

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