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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第三章 雲龍風虎
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有為転変2

『ついこの間まで宇都宮は連合軍として味方だったからな茂木城は放置していたんだ、そこをお前にやるよ』


城を任せると言う事はそんなに簡単な事なのだろうか。



『いやいや、それじゃ俺がお前の家臣になっちゃうだろ。城なんか要らんよ』


龍はまだ義重の言う事を酒の席の冗談だと思い笑っている。



『何言ってんだよ、茂木城の三國家を独立勢力として佐竹家は認めてやるんだぞ。立派な大名じゃねーか』



『そうか、それなら大丈夫だな。よし今日から俺も一国一城の主だ』



『おう。それで宇都宮の領地を攻めとってやれよ、次は那須家、その次は古河公方だ。古河公方まで落としたら名実共に関東の覇者だし佐竹も従わなきゃならないな』


義重は真剣に話してるのだが生来の明るさのせいか

龍には冗談に聞こえるのだろう。



『ハハハ、その次は北条を落として…そこまで来たら武田にやり返せるな』



『おう、まぁ武田なんか佐竹家だけで十分だけどな』



『スゲーわ、さすが鬼義重だ。怖い物なしだな』



『武田軍相手にほぼ一人で暴れたお前が言うのはオカシイな』



『あれはただの負けず嫌いさ、怖くなかったって訳じゃねーよ』


これは半分嘘だ。自分が死ぬ事に関しては怖くはない、と言うか死ぬとは微塵も思っていなかった。

ただ自分が所属している勢力がなくなるのは嫌だった。

この世界に来て行くあてもない中、拾ってくれた恩がある。

その恩を二度と返せないと言うのが怖かった。



『龍、お前の天下を見るのを楽しみにしてるぜ』



『ハハハ、天下どころか何処に行くかも決めてないから何時になる事やら』



『ん?だから茂木城をやるっつってんだろ、本気だぞ』


そう言われて、龍は漸く義重が本気で言っていた事に気付く。



『…本気だったのか?』



『当たり前だろ、俺はお前の天下を見たいんだからよ』



『マジか…村長から、いきなり城持ちねぇ…』



『城の名前は変えて良いぞ、ただの放置城だったからな』


そう言われてもすぐには思い付かない。

思い付かないと言うより状況に頭が追い付いて来ない。



『んー…名前は考えとくわ』



『おう、んじゃ、城内を掃除させるから1週間程はこの太田城に居ろよ、また戦おうぜ』




ハッキリ行くと返事はしてないのだが

龍は茂木城の城主になる事になってしまった。

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