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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第二章 関東争乱
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孤軍奮闘4

龍が目を覚ますと辺りは すっかり暗くなっていた。


雷竜砲を使うと全員精神力を残らず吸われるが、その後 魔力を使い雷竜を操ると言う作業をした龍の疲労は半端じゃない。

神仙丸を食べ精神力を回復しながらでも間に合わない状態だった。



『夜? …戦は!?』



『…此処からなので良く分かりませんが まだ城は落ちてない様です』



『…そうか 良かった。痛ッ…』

身体のあちこちから酷い筋肉痛の時の様な痛みを感じる。



『大丈夫ですか? まだ寝てた方が…』

城も心配だが龍の事も心配だ。




『いや…大丈夫、死ぬ訳じゃない』


龍はキョロキョロと辺りを見渡し、隊員が全員起きてるのを確認する。



『全員大丈夫?』



『隊員は大丈夫です』

雫は龍が寝ている間に隊員の状態も確認済みだ。



『よし…ここに居てもどうもならんし夜の内にもう少し城に近付こう』




城に近付くと雷竜砲を受けた武田軍の兵士達が大勢倒れてるのが見えた。

死んでる者も多く居るようだ。



ー 思ったよりも雷竜砲は怖いな…


それは撃つ方も撃たれた方も、である。





城に近くなると 上田城は完全に包囲されていた。

もはや付近の砦も全部落とされて居るだろう。



ー 予想通り絶望的な状況だ…


城の中に入る隙間もない。

龍撃隊だけでは敵を切り崩せない。

援軍も来ない。


王手どころでなく 味方王将の周りに相手の飛車 角 金 銀…とにかく敵の駒で穴熊状態だ。


(それぐらい詰んでいる)と龍は思っていた。




龍が思い悩んで居ると背後から(龍さん)

と声を掛けられた。


振り返ると佐助が居た。


『おぉ?佐助、生きてたか』

龍はただ嬉しかった。知って居る者が死ぬのはツラい。


『えぇ 龍さんも龍撃隊も無事で良かった』



『ん…?そういや どうして城外に?』

ふとした疑問だった。幸村の側に仕える佐助が離れると言うのは不思議だ。



『龍さんを探してたんだ…』


佐助が言うには こうだ。



龍撃隊が雷竜砲を撃った後、城から幸村の率いる騎馬隊が討って出た。

正面から衝突するつもりはなく、突撃しては鉄砲を撃ち即 下がると言う真田得意の戦法だ。

しかし 武田の騎馬隊に回り込まれ追い付かれ徐々に兵士を失って行った。


幸村が城内に戻ろうとした時は既に敵兵に門の前を制圧され やむなく付近の村へと移動し兵を潜めた。


『そして…』

佐助は眉を顰めて言葉を詰まらせる。


(ん…?)


『城内に残って居る昌幸様から家臣の方々への伝言です』


『伝言…?』



『明日、正午に武田の兵を城内に浸入させる。

その時を持って城内に残る火薬全てに火を点け城を爆破する。城には近付くな、生きよ』



『…それを昌幸様が?』



『はい…最後の主命だと俺に』


ー そうか…負けず嫌いにも程があるな…


元の世界の歴史では 戦にならない様に大国相手にのらりくらりと躱し続け

いざ戦になると大軍相手でも一歩も引かずに撃退させた様だが…


この世界の この戦いでは真田昌幸でも無理だったか。




『参ったね…』

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