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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第二章 関東争乱
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外柔内剛2

『いいか 俺はお前ぇに従うつもりだが 真田家の下に付く訳じゃねぇ。いつかお前ぇが自分の天下を目指す気になった時は俺を呼べ』



ー 俺の天下ねぇ…そういやメニューのヘルプには天下統一しろと書いてあったっけ



『んー… お前 それ本気か?古河足利家はどうすんだ?』

状況は詳しく分からないが 佐竹の周りは古河公方の息のかかった勢力に囲まれてるはずだ。



『あぁ それなら余裕だろ。足利も小田も宇都宮も那須も白河も…俺の周囲はザコばっかじゃねぇか、一度に相手すんのが面倒だから古河公方に従ってるフリしてるだけだぜ』


強気だなと思うが元の世界の歴史を思い出してみると

そういや佐竹が苦戦したのは北条と伊達だけだったかな?と思い直す。




『んー…俺の配下になると言うのは置いといても 今この戦場から佐竹の軍勢が引き上げるのは相当 助かるけどなぁ…』


『だろ?俺は頼りになるぞぅ?』


(いや 人の話しを良く聞け)と龍は笑う



『ところでよ…未来の俺の主、お前ぇの名前は何つーんだ?』



『あ…?せめて名前を知ってから配下がどうのって考えろよ、三国龍だ。そしてただの村長だ』



ハッハッハと笑いながら義重は

『おう 覚えとく…けど最後によ崖下の小田家に一発 その兵器っての撃ってみてくれよ〜』

と なおも食い下がって来る。

本気で魔術砲を見てみたいのだろう。



『はぁ… 分かった。 ちょっと待ってくれ今 昌幸様にお伺いと報告を頼むから』



『おぅ!本当か!よっしゃぁ!』

見れる見れる 兵器が見れる〜♪


この佐竹義重と言う男は 裏表のない人物なのだろう。

感情に正直と言うのか…今はどう見ても嬉しそうにしている。




辰治に小田家への威嚇射撃の是非と佐竹撤退の確約の報告をさせる為に昌幸の元へ走って貰った。

雫には佐竹軍の元へ 義重の文を届けに走らせた

その内容は【小田家へ真田家の兵器で射撃するので その混乱に乗じて撤退せよ】だそうだ。



数十分後 辰治 雫が戻って来たので


いよいよ 義重に魔術砲を見せる時が来た。



『んじゃ 昌幸様から許可が降りたから撃つぞ』


『おぉ!』

義重はまた少年の様な眼をして嬉しそうにする。



『この兵器の名は 魔術砲と言う。矢に火薬を仕込み、後は任意の魔術 数種類を時間差で発動させた使う』



『魔術を数種類…しかも時間差だと?』



『そうさ だからこの矢が仮に不発して敵に拾われても 普通の火薬付きの矢としか思われないだろうな』



『おぉ…凄ぇな』



『じゃぁ 撃つぞ よく見てろ』



龍がそう言うと いつもの様に

左手を小田の軍勢へ指差し

右手、人差し指だけを上げる。


『威嚇射撃イチ!』


そして龍が右手を振り下ろすと

龍撃隊の弓から一斉に特殊な矢が放たれる。



雷術で速度を上げ

風術の力で矢を通常より回転させ飛距離を伸ばし

着弾するタイミングで炎術を発動させ火薬に引火させ爆発させる。


火薬にも色々と殺傷能力を高める為に試行錯誤した跡があるが

今は義重にはそれは説明しなくていいだろう。



矢が着弾すると轟音と共に敵兵が吹き飛び

あちこちから炎と煙が上がり悲鳴が聞こえる。


どうやら佐竹の軍勢は上手く逃げ出したフリをして戦場を離れ始めた様だ。

小田の軍勢も一部 佐竹の逃亡に合わせて逃げ始めてる兵が居る。



『こいつぁ 凄ぇ…魔術や火薬ってのは使い方次第で こうも恐ろしい武器になんのかよ…』

義重は さっきまでの笑顔が嘘の様に 今度は真顔になっている。



『確かに使い方次第だよなぁ』

むしろ魔術の研究開発をしない この世界の方が龍には不思議ではある。



『いや お前ぇには 本当負けたわ 凄ぇよ』



『うん まぁ 褒められたと思っとくよ サンキュ』



『よーし 良い物 見れたし 今日はもう常陸に帰るぜ、早い所 俺を家臣にしに迎えに来てくれよな!ハッハッハ』


ニカッと笑って龍の返事を聞く前に佐竹義重は走り出して行った。


『最後まで人の話しを聞かない奴だったなぁ…悪い奴じゃないけど』

悪い奴じゃないけどと言うが

龍は義重の様な明るい男は好きだ

一緒に居ると周囲を笑顔にするタイプなのだろう。




『…嵐の様な人でしたね』


『マジでそうだわ』

龍は義重の事を思い出し また笑っていた。

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