徒手空拳2
その後 フミと泉の二人から聞いた事をまとめると
◯現在は弘治元年5月8日
◯親子は風邪を引いた父親に食べさせる為にギョウジャニンニクを探して山に居たらしい
◯どうやらここは越後地方のどこからしい
◯魔法…いや特技は武将なら多少は扱えるのが普通で 平民でも特技を扱える人は居るらしい
ーん…これ 普通のタイムスリップ系ではないな
それに今まで読んだ事ある異世界系って中世のヨーロッパ風だったよなぁ…
あとどうせ戦国時代物なら 普通 信長絡みじゃないのかよと…
色々とツッコミたい事は山ほどあるが
そのツッコミを入れるべき神様とやらに会ってから飛ばされた訳ではなく 本当に唐突に気が付いたら この世界に居たので
龍は頭を抑え 苦笑しつつ 思わずまた現実逃避したくなった。
『えーと…大丈夫ですか?』
心配そうに泉は尋ねる
『あー…うん なかなか意識が現実に追いつかなくってさ』
いや 龍には本当にこれが現実と呼べるのかどうかも分からないが…
『龍さんは旅の方でしょうか? 良ければウチの村はここから そう離れてないので 今夜は家で休んで行って下さい』
ーうん もう 体感では20時位だろうか この世界のお金も持っていないし 今夜はお世話になるか…
家に着いたら 魔法の事や 上杉謙信の事でも詳しく聞いてみよう
『すいません お世話になります』
そうフミに返すと 泉はニコニコしながら龍の腕を組んだ。