同行二人2
帰りは同盟国である武田領を通り
佐久の町で一泊しつつ村へと向かった。
村へ着くと村人に帰宅した旨を告げ家へ入った。
夕食後 いつもの様に魔術の練習を始めるのだが 龍は思う所があったのか
また実験をする事にした。
『矢を射る時は 雷術を纏わせて速度を速めたけど 身体全体か もしくは足に纏わせるなら やっぱり風かな?』
『…迅速に行動したいという事ですか?』
龍の発想の奇抜さに雫は驚き慣れた。
龍に会うまでは 魔術と言うものは
炎術なら炎を ただ放出するだけだったのだ。
『うん…この先 上泉信綱みたいに強く速い人達に出会うと危険だしなぁ』
あの剣聖程の強さの人はそうそう居ないだろうが 全く居ないとも言えない。
たとえ後世に名前を残して居ない人間でも
一芸に秀でた人は居るだろう。
もし 戦場など 命を賭けて居る場所で出会ってしまったら
それだけでゲームオーバーになってしまいかねない。
死んだら どこかに転生されるかも知れないが
そんな賭け事は出来ない。
『そうですね…(こう) でしょうか?』
そう言うと雫は両脚に風術を纏わせる。
すると動きは普通だが 何かを蹴るとその対象が竜巻状に風が巻き上がった。
『それはそれで 良いね…よっし 俺の番…』
今度は龍が嵐をイメージしながら両脚に風術を纏わせる。
すると 上泉信綱の領域に到達してるとは思えないが
多少 動きが速くなった。
『凄いです…』
『うーん…これも良いけど まだなんだよなぁ… 違う何かをイメージしなきゃダメかなぁ…』
魔術はイメージが大事だ。
想像力の豊かさが魔術スキルの豊かな表現方法に繋がる。
ガサッ…
何者かが草叢を踏みしめた音がした
龍と雫が一斉にその音の方を見ると
志郎とその友達の貫太との二人が居た。
『あれ?村長 何してんの?』
志郎がニコニコと声をかけて来た。
『いやいや 志郎達こそ こんな夜に何をしてんだよ』
時間で言うと20時頃だろう。
『へっへっへー 村長いつも秘密特訓してるでしょー 見てみたかったんだよね〜』
『へっへっへ〜』
貫太もニヤニヤしている。
『まぁ 別に秘密でもないけどもよ お前らもやってみるか?』
『『やる!!』』
二人の子供は元気に返事をした。
『いいか? まず魔術と言うのはな…想像力が大事だ』
『うん…』
『例えば 火の玉を想像しながら右手に魔力を込める』
『うん…』
『火の玉の大きさと勢いはこんな感じって想像しながら それを放つ…すると』
龍は実際に左手を前に伸ばし
その手から火の玉を飛ばして見せる。
その火の玉の飛んで行った先では
雫が(水術)で水の玉を作り 火の玉を受け
消化している。
『『おぉ!』』
『よし こんな感じだ、やってみろ』
『『はい!』』
その日は 子供ら二人に魔術スキルを1時間程
教え、家に帰した。
この日 村の学校でも 大人だけじゃなく
子供にも魔術を教えてやる方が良いのかなと思いながら龍は眠りについた。




