表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻の戦国記  作者: やっさん
第一章 時空転移
28/167

同行二人

新陰流とは無形を極意とし 相手に技を出させ、所謂 (後の先)を取り、勝ちを得る。

威圧し敵の心体を殺す殺人剣ではなく活人剣。

相手を大いに動かし自分は動かず勝つのだ。


ー あぁ なるほど 殺人剣、活人剣ってそういう意味なのね。うんうん…



『で 何故 俺が戦わねば ならないので?』


ここは新陰流の道場。

そして龍の目の前には 上泉信綱が竹刀を構えて居る。



『ふふ…武人が放つ気を感じたら やはり戦ってみたくなるのは武人の性と言う物ではござらぬか?』



(そんなの放ったつもりもないし 俺は武人じゃなく ただの村長だよ)



『しかし お主 本当に竹刀は要らないので御座るか?』


『はい 刀や槍など 武器は使えないです。強いて言えば弓を少し使える程度なので』


龍は素手で構えをとる。

左手の掌を前に出し 右手は拳を握り 弓を絞る様に後ろへ引いている。

魔術スキルを使いやすい様に こう構えて居る。




何故 道場でこうなってるのかは 龍も分からない。

昨夜 酒場で出会った時から上泉信綱にクドイ程 誘われたのだ。

その道場の一段高い所 本来 師範が座るべき場所には もちろん長野業正がニヤニヤと座って居る。




『では 行くぞ』

そう告げると 信綱が一気に間合いを詰める


(おい 相手を大いに動かすんちゃうんかーい)

と思う間もなく 竹刀が龍に真っ直ぐに襲い掛かる。



敵になるかも知れない男に魔術スキルを見せるべきかどうか悩んで居た。

しかし 武器も魔術も無しで挑むのは

竹刀とはいえ痛いだけだ。


『痛いのはゴメンだ!』と考えなおし

両手に雷術を纏わせ 竹刀を躱す。


『ココ!』

竹刀を持つ信綱の手に触れる…


しかし 信綱も武人の勘が冴えてるのだろう

竹刀を引き 龍の手には当たらない。


それどころか 更に 二撃三撃と竹刀を振る。



(速っ…ぐっ…)

これもギリギリで躱す

もはや 野生の勘だけで躱している


後ろへ飛び退き

掌を信綱に向け (炎術)を放とうとした その時

龍の喉仏 1㎝先に ピタっと竹刀が止まった。


『ぐっ…』


『コレで終いで御座る』




ー さすが 剣聖 動きが速すぎる。一つの道を極めた人間は こうなるのか…


『ありがとうございました』

両手の雷術を消し信綱に礼を言う。



『うむ こちらこそ有難う。龍殿は変わった戦い方をする これは数年後には拙者が負けるやも知れぬな』


(ないない…そんな人間離れしてる速さの人間に勝てる気なんかしないよ)と喉まで出かかったが


『次に会う時は もっと良い勝負が出来る様に修行しときます』

と言っておいた。






上泉信綱と長野業正に別れの挨拶をし道場を出た。

その後 城を偵察しようとも思ったが

門までは行かず 町から城を見るだけに止めた。

お互い名乗り合いはしなかったが

城の前で また会ってしまうと面倒そうだと考えての事だ。



『んじゃ 帰ろうか』


『はい』


雫と二人 村へと帰る事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ