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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第一章 時空転移
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温故知新3

龍と雫の二人は箕輪城のある箕輪の町へと向かっていた。


進軍する時の進行ルートを確認しながら

箕輪城を見て どこからどう攻めるか考える為で…だ。


もちろん戦など今の所するつもりはない。

それどころか大名でも国主でも城主でもない

ただの小さな村の村長の龍に そんな事を考える必要は全くもって必要ないだろう


しかし 今は限りなくゲームの中の世界の様な戦国時代なので

(100%ない)とは思って居なかった。



『この川が利根川って言うのかぁ…』


『…利根川は初めてですか?』


『いや…元居た世界で何回か見たよ 茨城…常陸だっけ?』

旧国名と言うのは なかなか思い出せない。

小さい頃にやった 不良シリーズの時代劇ゲームで 少し覚えた程度だ。



『…海の方ですか』



沼田からは利根川沿いに南に下る

吾妻川と言う川が利根川に合流したら

川と離れる様に西の方へ行くと箕輪だ。




『雫は箕輪にも行った事あるんだねぇ?』


『…はい 普段から情報を集める為に偵察しています』


ー さすが忍び

龍は常日頃から疑問に思って居た

忍者は情報集めるのが仕事であって

戦うのが主目的ってのは違うんじゃないかと。


火遁 水遁などの術の数々も

遁…の意味する通り 逃げる為に使うのであって

それで魔術スキルの様に戦う訳ではない


忍者と言う仕事を現代風に言うならスパイだろう。


情報はいつの時代も重要なのだ

特に戦なら なおの事。



そんな夢も希望もない事をブツブツと呟いて居ると

遠くに城が見えた


『アレに見えるのが箕輪城です』


『よし 今日は箕輪の町で寝て 明日に城を眺めに行こうか』


『…はい』

と雫と龍は町に入り 宿に入る。


荷物らしい荷物もないが

少しの荷物を置き 酒場へと向かった。





『らっしゃい 何を飲む?』

威勢の良い店員に声を掛けられた


『濁酒以外に何かあるのかい?』

龍はそう答えた。

清酒があるのは知っているが

値段が高い貴重品の為

軽々しく飲める酒ではない。



『ダッハッハ 兄さん 誰も飲んでくれないから ウチの清酒には埃が被ってるよ』


『そりゃ 悲しいねぇ だが濁酒くれ 2号で』


『あちゃぁ…あいよ!』



この濁酒は現代のよりもアルコール度数が低いのか次の日にも残らない

現代の濁り酒も好きだが

この濁酒も結構気に入っている。




『ぬっはははは あの時の北条方の顔を見たかよ』


『はい 良い顔で悔しがってましたな』



隣の席から 爺さんと中年の男の話す声が聞こえて来た。

内容が内容だから聞こえたってよりも

単純に声がデカいので聞こえるって方が正解だ。



『しっかし 武田にも北条にも ワシの城を落とせる奴ぁ 居らんようだのぅ』


『居ないでしょうなぁ』


『ぬっははは なんせ長野十六槍もおる』



ー 機嫌の良さそうな呑み方してる爺さんだなぁ…ってより この内容からすると十中八九 箕輪の殿様じゃないのか?大丈夫か この爺さん


龍は聞くつもりなく聞こえて来た会話から

この爺さんが誰かは分かった。

おそらく箕輪城の城主 長野業正だろう

中年の男の方は 家臣の誰かかな?と


と言っても 長野業正の家臣に誰と誰が居るなど

そこまで詳しくはないのだが。


そう考えながら 爺さんをチラっと見ると

目が合ってしまった。



『なんじゃい よく見たら お主 ここの者じゃないのぅ』


『いやいや この町や付近の村の者じゃないと町の酒場に来ちゃダメなのかよ爺さん』


と龍は笑顔で返した。

軽口なのは あくまで爺さんが長野業正と気付いてないフリをしてるだけだ。



『んん? それもそうじゃのぅ よし 良く呑め そしてこの町に金を落として行け ぬっはっは』


ー ホント元気な爺さんだなぁ

と思った。

そして頼綱もそうだが 元気な爺さんは好きだ

とも思っていた。



『失礼だが 其方は 何処かの武人か? …武術ではなさそうだが…』


中年の男にそう話しかけられる

勘の良い人なのかなと思いつつ


『いやいや 俺は戦いなどしないですよ』

と返す。



『そうか 其方は 何処か武人が携える気を纏って居る。武術が未経験と言うなら 将来 名を残す武人になるやも知れぬ。

もし興味があるなら 箕輪村の新陰流道場へ来ると良い』


(新陰流…?新陰流なんか柳生の事しか知らない…あれ? そういや上泉信綱って剣聖が居たような…)

龍は必死に思い出していた

確か武力100みたいな数値の武将が長野家に居たよなと。



この人が 上泉信綱か…


有名人に次々と会える。

いやぁ この時代って ホント楽しいなぁと

龍は しみじみ思って居た。

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