温故知新2
翌朝から沼田へ向かうと
また薄暗くなる頃に沼田城へと辿り着いた。
門番の者に(三國龍が来た)と
頼綱に伝えて貰う。
10分程した頃 門の前に
あの爺さんがニコニコと迎えに来た。
『おぉ よう来たな 待っていたぞ』
『おぉー 爺さん 元気そうで良かったよ』
『ワシは生まれてから今まで元気じゃなかった事なぞ ないわい』
ガッハッハ と楽しそうに笑う。
『まぁ 信幸様も待っておる 中へ入ろうか』
沼田城の広間へと案内され
中に入ると 昌幸とも幸村とも似ていない者が
こちらを見て座っていた。
『俺が真田の長男 信幸だ 話しは聞いている』
そう言った信幸は シュッとした顔と体形
いかにも仕事が出来そうな雰囲気を漂わせている男だった。
ー おぉ…この人が真田家の血を後世まで残した人か…
そう 信幸は徳川家康に付き 松代藩の藩主となり真田家としては版籍奉還が起きるまで残っている。
ちなみに隣に居るこの爺さんの矢沢家も歴代の真田家筆頭家老として後世まで残っている。
『初めまして 三國龍と申します 今は何故か上室賀村の村長をしています』
『うむ 爺からも聞いておる 変わった戦い方をするそうだな』
『変わって…居るんですかね? 俺は刀とか槍とか武器を使い慣れてないですからね』
実際 現代の人間のほとんどは使い慣れては居ないだろう。
剣道出身者なら 刀を扱えるかも知れないが
『三國殿は別世界から来たとの事だが…別世界とは どんな所なのだ?』
(どう言えば 良いのか)と龍は思った。
未来…とも言えるし違うとも言える
ゲームの様なこの世界とは違う現実の世界…とも言えるし この世界も現実だと言える
『簡潔に言うと文明が進んでる世界…でしょうかね?』
と言ってみたが 特定のスキル…特に魔術スキルなどを考えると この世界の方が便利な気はするので 必ずしも文明が進んでる居るとは言えない気もしている。
『ほぅ 文明とな…どの様に進んでおるのだ?』
信幸は頭が良いのだろう 未来の事を教えれば理解してくれそうである。
『どれから言えば良いのか分からないですが…スキル以外の全てでしょう。なにより戦は起こりません』
『戦がないと…なるほど 余程 有能な将が治めて居るのだな』
『そうですね 有能な将が治めた後に 民主主義と言う時代になり 一般市民から選ばれた人間が国の頭となり数年間の交代制で就いています』
『ほう? それは凄い。確かに 有能な人物の子が有能とは限らない 世襲制よりは良いのかも知れないな』
『えぇ まぁ…何にしろ 権力が集中してる所は腐敗して行く可能性はありますけどね』
『ふむ…戦がないと言う事は 腐敗して行く可能性は大いにあるな 腐っていても倒されるべき相手が居らんのだ』
龍は 幸村よりも信幸の方が昌幸の血が濃く流れてるのを感じていた。
昌幸の頭脳は信幸に
昌幸の反骨心は幸村に
それぞれ受け継がれてるのだろう。
この日は信幸 頼綱と夜遅くまで酒を飲みながら語り合った。
そして 沼田の南 箕輪城に長野業正と言う武将が土地を治めている事を聞いた。
ー やっぱ長野さん居るのか…と龍は苦笑していた。




