不断節季
幸村の所へ報告を済ませると
すぐ村へ帰り 村民に手伝って貰い 数日掛けて畑を耕し
教えて貰いながら甜菜の種を植えた。
順調に育ってくれれば良いが
農業の経験がないので よく分からない。
失敗しながらでも まずは経験を積まなくては。
『この作物 収穫出来ると良いね〜』
この少年の名前は志郎と言う
この村の子供で歳は12歳だそうだ
志郎は率先して手伝ってくれていた
そのお礼も含めて
村に蔵を利用した学校を作り
村民達に最低限の計算や読み書き 魔術スキルの利用法 雫による武器の扱い方などを
教える事にした。
この時代は 農民が戦に行くのは普通の事だ
なので 村を発展させる為には 村人に死なれると困る。
それに最低限の計算や読み書きは
この時代における税金=年貢の計算や記録など 生きていく上で 困らない様にする為だ。
『これも何かの縁だし この村を日本一の村にしてやるさ』
龍は 夕陽を指差し 何かに浸っている。
『村長〜 じゃぁまた明日ね〜』
『お〜 気を付けて帰れよ〜』
松兵衛との会談から3週間程 過ぎた頃
安田屋から火薬が届いたと
幸村からの報せを受け
上田城に火薬を確認しに行く事にした。
『ほぅ…これは上質だな しかも値段が安いと来たか』
昌幸がそう呟くが 龍には火薬の良し悪しがまだ分からないので
『それは良かったです』と返した
『龍さん村長の仕事はどうですか?』
『えぇ…村長と言うのが まだ良く分からないので 村を発展させる為に色々とやってみてる最中です』
幸村は 龍が心配なのだろう
忍びを数人 村人として配置させており
龍の情報は幸村に常時届いて居た。
上田城と そう離れてないにも関わらず…だ。
この日は 幸村 昌幸 頼綱と昼食を共にし
佐助に挨拶をし城を出た
村に戻った頃は既に薄暗くなっていた。
『戦国時代って言っても意外に平和なのね?』
夕食を一緒に食べている雫に話しかける。
『戦国…時代? よく分かりませんが 今は平和ですか?』
雫はキョトンとしている
『あぁ いや 頻繁にどっかしらで戦が起こってる様な気がしてたからさ』
元の世界のゲームの中では そうだった
しかし歴史に残る程の大きな戦は そう頻繁には起きないんだろう
もちろん 小競り合いは多々あるだろうけど
そんな話しをしながら
今日も日課の魔術の訓練に二人は出掛けた。




