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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第一章 時空転移
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一日千秋2

『私はどこで寝れば良いですか?』

雫に不安げに尋ねられた。



『寝る部屋? あの客間を雫の部屋に使ってよ 俺は入らんから』


まさか部下なんだから 外の納屋で寝ろなんて言う訳がない。



日課になっている雫との魔術の修行は今日も行った。

魔術スキルと言うのは疲れが来るのも早いが

成長するのも早く

わずか数日の練習で そこそこ思う程度の魔術を放てる様になって来ている。


雫には イメージしやすい様に

電気とは、爆発とは、冷凍とは、等と

一つ一つ 現象を教えて居る。


魔術はイメージが大事な様だ

知らない事は 魔術として具現化出来ない。



『んじゃ おやすみ〜』


『おやすみなさいませ』




翌朝から村を見て回る事にした。

水田や畑、山や道路の形、村人の顔など

覚えなきゃならない事は盛り沢山だ。


途中 村人から天然の温泉が湧き出る場所を教えて貰い 久々に風呂を堪能した。


温泉に浸かっている間 雫にずっと監視されるのは堪らない物がある。


『風呂に入っている間に敵に襲われる危険が…』

との事だ。


ー 村長なんぞ誰も襲ってなんか来ないと思うけどなぁ


龍は温泉を気に入って 毎日入りに来る事にした。







数日後 富山の商人 松兵衛が訪ねて来た。


龍が思ってたより かなり早い訪問だ。



『お久しぶりです あれから何日も経ってないのに三國様が上室賀村の村長となった様で少々驚きました。』


『えぇ まぁ 色々あって 村長になっちゃいました』


雫が茶を持って居間に上がって来た。


『早速ですが まず甜菜の件は これを…』

松兵衛の丁稚と思われる少年が 籠から袋を持って来る

その袋の中身を松兵衛が手に取ると


『コレが甜菜と言う野菜の種だそうです』


『コレですか…』


その種は小ぶりで 少し角があった。



『ただ コレは明では家畜の餌にするそうなのですが…』


『そうなんですか 食べる訳ではないし とりあえず試してみます』


甜菜と言う物を学生時代に触った事はある

その時に砂糖を作る実験もした。

しかし 飼料用だとか野菜用だとか分けてる事までは知らなかった。



『そして火薬の件ですが…』

そう言うと 松兵衛は渋い顔をした

その表情で (そっちはダメかな)と思ったが意外な言葉を松兵衛は続けた。


『種子島銃の1発分で15文でお願いしたい』



『そうですかって…ん!?売ってくれるんですか? 』


『え? そりゃ この間の 弓を見せられたら 真田家には売らない訳には…というより真田家と懇意になりたいと思うは 当たり前です』



前回 松兵衛には 雷 風 炎術を合わせ 火薬を付けた矢を放った所を見せた

それは さながら 弓砲と呼べなくもない威力であった。



『ただし 加賀の本願寺家の分は時間を掛け徐々に減らすつもりなので その減った分を徐々に真田家に引き取っていただきたいのです』


なるほど 時間は掛かるが 段階的に真田家に火薬を融通してくれると言う訳だ


『では 段階的に値段も下がる可能性はあると?』


『それは勿論です なので今は1発15文で我慢していただきたいのです。将来的には10文までは値段を落とせると計算しております』


ー コレは大成功だろう 幸村も喜んでくれるかな?



『ありがとうございます では火薬はそれでお願いします。真田家には俺から言っておきますので』



『…砂糖については 秋の収穫の後 製法を研究しますので それまでお待ち下さい…種の分のお金は払います』

と龍は笑顔で頭を軽く下げた。


『いえ 今回の分は 時間も無かったので投資という事で 無報酬で良いです。次回の種が必要になれば その時 その分をお支払い下さい』

と松兵衛も笑顔で頭を下げる。



真田家 安田屋 双方に利があるであろう

商談は ひとまず成功と言った所か


(まずは甜菜を上手く育てないとな)

と龍は自分に呟いた。

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