古今無双3
『ぐ…お主、何処で魔術の鍛錬をした?師は誰ぞ?』
なんとか立ち上がりながら虎昌が問いかける。
『どこって上室賀村の裏山で、師匠は居ないなぁ 魔術ってのが楽しくて今も色々試してる最中だ。だけどそもそもの魔術の存在を教えてくれたのは普通の娘だ』
佐助の姉である泉を普通の娘と言って良いのか謎ではあるが。
『そうか…自力でそこまでとは面白い』
『まぁ そこまでって言われても今の魔術が凄いのかどうかは分かってねぇな、どこまで魔力を上げれるか どこまで術を開発できるかってのは楽しいぞ』
『ふむ…。お屋形様の為にお主に師事して魔術を習得したいが残念ながら今は敵同士、それも叶わぬ』
『そらそうだ、人に物を教える事は嫌いじゃないけど敵に物を教える気はねぇかな』
『うむ、では魔術ではなく拙者の武術のみで捩じ伏せてくれよう』
『お前は強いから死んで欲しくはないけど手加減も難しいから殺しちまったら すまん、先に謝っとくよ』
『ふふ…命を賭けてこその鍛錬よ』
龍は神仙丸を口に含み再びブースト状態になった。
右手は雷術、左手には風術を仕込み虎昌に向け構えをとる。
『参る!』
そう叫んだの束の間、長槍が大きくしなり龍に襲い掛かった。
しかしブースト状態の龍には時が止まってる様に見える。
何度か長槍の叩き、突き、斬り攻撃を躱し
三度 虎昌の懐に入った。
龍が両手を虎昌に添えた時、虎昌は槍を捨て瞬時に小太刀を抜き龍を斬りつけた。
ーーが、それも龍はサラリと躱し背後に回り込んだ。
『…!』
風と雷の魔力を同時に虎昌の体内に流し込む。
すると虎昌の体は周囲に雷術を撒き散らしながら吹き飛んで行き 周囲の敵兵を気絶させ、
『ぐ…』と呻き声とともに虎昌自身も気を失った。
『お前ら そいつ連れて戦場を脱出した方が良いんでないの?早く手当しないと死ぬぞ?』
気絶しただけなら死にはしないだろうが、少し誇張して言った。
『と、虎昌様の手当を急げ!飯富隊 撤退!!』
付近に居た 副将の様な兵はそう叫び、飯富隊は撤退を開始した。
飯富隊5千が撤退したからと言っても未だ数の上で味方の不利は変わらない。
変わらないが、猛将が一人 戦場から居なくなったのは大きな痛手であろう。
味方本隊が到着するまで持ち堪えられる要素は少しでも増やしたい。
『龍の旦那、あんたスゲェな』
声のした方に龍が振り返ると由利鎌之助と根津甚八が立っていた。
『ん?いや 俺は凄くないさ、たぶん雫でも勝てると思うよ』
『『雫ちゃんでも!?』』
二人は雫の事を 無表情の龍の世話係程度にしか思って居なかった。
それはそれで間違っては居ないのだが、龍の魔術の訓練に付き合ううちに強くなった。
『あぁ…お前ら雫の事を怒らせない方が良いぞ?スゲェ強いから』
『…私は龍様より強くありません』
『でも他の奴より確実に強いけどな』
驚いて居る二人を置いて、龍と雫は本来の持ち場である龍撃隊の元へと戻った。




