一視同仁3
『おぉ…川の船って思ったよりデカイのね』
龍達は関宿城から国府台の町へ向かう船の第一便となる川船が完成したと聞き、その姿を見ていた。
『当たり前ぇだろ、なるべく多く荷物を積める様にしないとな。デカさは正義だぜ』
『そう言うもんか?』
船を作るにあたり、監修は佐竹義重に任せていた。
輸送がメインの商船とは言え、いざとなったら多少は戦える面子を集めなくてならないので
配下に海賊衆を持っている義重に輸送船の水夫も含めて任せたのだ。
『ところで、何を運ぶつもりだ?』
『今の所だと米、あとは真岡の木綿とか桔梗城から算盤だとか地域の特産物かねぇ? この船を利用して関宿城でも何かを作ろうとは思ってるぞ』
『船で特産品?』
『国府台の町、江戸の町、小田原の町から船を利用して関宿城にも物資を運ぶからな、それで何かを作るさ』
『龍さん、また何か新作を思い付いたんですか?』
『いや、まだ色々とやってみないとならんけどさ…そうね酒とか味噌とか醤油みたいに加工して作る物が良さそうね。原料を港町か宇都宮の方から輸送して、この関宿で加工する』
輸送すると言う事は一方通行ではない。
物資を輸送し終わったら、今度は向こうから荷物を積んで来る事で運送会社も利益が出る。
『龍さんは常に何か新しい物を作りますね、流石 転移者です』
『いやまだ何もしてないから』
やる前から褒められても困ると龍は笑う。
『おい龍、武田とはまだ戦にならねぇのか?』
『まだそれどころじゃねぇさ、何せ古河公方の旧領が予想以上に広くて管理するだけで大変だぞ』
『おぉ、そうか…俺が常陸の国主になってやろうか?そうすりゃ幾分かお前の負担も減るだろ』
言葉だけを捉えれば(俺を国主にしろ)と野望たっぷりの様に聞こえるが、義重にそんな野望はない。
純粋に友である龍の助けになればと、それだけの意味だ。
『お、良いのか?頼むわ…確か常陸全域はウチの支配下に入ってるから、その管理を頼むよ』
『おう、任されたぜ』
『うはははは、龍殿も相変わらずだな。こんな川っぺりで義重殿を国主に任命するか』
資正は豪快に笑った。
確かに、城内ではなく ここはただの川の側だ。
『んー…別にどこで頼んだっていいじゃん、みんな友達とか家族の様なモンだしなぁ』
家臣だとか血筋だとか、この時代この世界の人間ではない龍には馴染みがない…いや興味もない。
仲の良い者達と楽しく接するのは好きだ。
そこに配下も家臣もない。
自分が一度気に入った人間が、例え裏切ろうとも
何かそれなりの理由があったのだろうと気にしないだろう。
良く言えば楽観主義、悪く言えば適当人間と言う所だろうか。
『ん、とりあえず義重 船サンキュー、この方向性で船を作って行ってくれ』
『おう、そっちも任せろ』
『俺はちょっと城下町へ行って町人と話してから城に戻るけどよ、義重は泊まってくだろ?』
『おう、当たり前だ』
『よし、飯までには戻るわ』
龍は町の職人となにやら話し合い、夕方には関宿城へ戻り、みんなで酒を飲み明かした。




