虚心坦懐2
真岡城より北西、鬼怒川を越え真岡城と宇都宮城の中間地点に刑部城と言う名の城がある。
城主は刑部良業なのだが、龍の配下に加わった武将の一人だ。
真岡城の合戦で宇都宮勢を撃破し龍の軍勢は宇都宮城を攻める為、そのまま刑部城まで進み、一夜を明かしていた。
『スケさん死傷者の数は計算出来た?』
『ウチの死者は10人 怪我で一時的に動けない者は50人程で御座る』
『うーん…結構 被害大きいけど 相手が2万も居たし、こんなもん?』
『城主殿 何を言っておる被害は少な過ぎる位だ』
『あ、そうなの?なら良かった』
敵に攻撃させず一方的な展開として見ると被害は多い気がしたが
約4500対18000と4倍の敵を相手にこれだけ被害を抑えられてるのは資正からすれば奇跡の一言だろう。
『宇都宮城攻めも被害を少なく行きたいな』
『うむ…そうで御座るな』
『龍さん、準備が整ったみたいです。行きましょうか』
龍の軍勢は刑部城を出発する。
龍撃隊用の火薬も補充し その矢も急ぎ加工し補充した。
準備万端とは言えないが、それは宇都宮方も同じ…いや時間が足りないのは宇都宮勢の方のはずだ。
兵が思い思いに戦場を脱出し、その脱出した兵が宇都宮方の首脳陣の都合よく宇都宮城に集結するとは思えない。
そしてその散った兵を宇都宮城に再集結させ三國勢を迎え討つには些か時間が足りない。
17000〜20000人居た兵も三國方の軍勢が宇都宮城に到達した時は、2千人と少しと言った所であった。
『よし、一気に落とすよ。龍撃隊!隠密射撃イチ!狙いは門と矢倉!』
いつも通り龍の合図で龍撃隊が門と矢倉に向け魔術砲を放ち破壊する。
門が開けば幸村隊と笠間隊が突撃して行き、その後ろに龍撃隊が付き門や途中の矢倉を破壊して行く。
資正隊と益子隊はさらに後を付いて行く様に要所を制圧して行く。
昨日の戦いで配下に加わった武将の部隊は資正隊と一緒に行動させ、龍の攻城戦の戦い方を見せる。
本丸内の大広間に広綱は居た。
『相変わらず幸村隊は早いな』
龍が大広間に到着した時は広綱の傍に幸村と佐助が居た。
『龍さんが門も矢倉も…障害物を破壊してくれからですよ』
幸村も佐助も汗をかきつつ笑って居る。
『広綱殿、昨日のは大丈夫だったかい?』
昨日の、とは龍の雷術の事だ。
『ぐ…あんなもの大した事ではない!』
広綱は後手に縛られ座らされて居るも威勢は良い。
『うん、降参して配下になるか?』
『…配下になど成らぬ!こ…殺せ!』
『そうか…ただまぁ殺しはしないさ』
龍はどうしたものかと悩んで居た。
殺したくはないが、ただ逃してもまた宇都宮の名の下に兵が集結されるのは面倒だ。
『よし、なら芳賀高定の居る芳賀城の城主をやってくれないか?』
『…高定は生きておるのか?』
『そらそうさ、殺す訳ないもの』
『…条件は何だ?』
『条件?』
『俺を生かしてくれるのだろう。その条件は何だと聞いておる』
『あぁ、気に入らないなら名目上だけで良いから家臣って事になれ。裏切る好機があれば好きに裏切れば良いよ』
龍が何を言って居るのか どういう意味で言って居るのか
若い広綱には全く分からなかった。
『…分かった。いつ裏切っても良いと言う事なのだな?』
広綱は傍に高定が居るなら再起を図るチャンスは必ずあると思って居た。
『あぁ 良いよ。ただ二度目は助けないぞ…必ず殺す。そうだな、指を1本ずつ鉈で落として行き どこまで意識を失わずに我慢出来るか試すか…楽しそうだ』
龍は微笑みを浮かべて居た。
しかしそれは自分の冗談に笑って居ただけなのだが
広綱はそうは受け取らなかった様だ。
『…わ、分かった。裏切るかは お主の今後を見て考える』
『ふふ…おう、悪いけど頼むよ』
龍はこの一連の戦により宇都宮広綱を降した。
宇都宮の当主を配下に加えたと言う事は
宇都宮の支配地だった所は、そう揉めずに龍の支配地となるだろう。
これで下野の国の1/3程が龍の支配地となった事になる。
次は那須家と古河公方足利家との戦いになる。
その次は武田か北条か…まだまだ天下統一には程遠い。




