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夢幻の戦国記  作者: やっさん
第三章 雲龍風虎
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三面六臂5

『龍撃隊出撃!』


龍の合図で龍撃隊が動き出す。

…と言っても100mも前に進めば射程距離に入る。


宇都宮の軍勢は左右の前方に突出して居る位置に騎馬隊を配置していた。


おそらく龍撃隊の魔術砲を警戒し、撃たれる前に速攻で龍撃隊を撃破したいのだろう。




しかし 龍撃隊のすぐ後ろには弓隊と騎馬兵を控えさせて居る。



『威嚇射撃二!』


一見普通の弓なりに飛んでいく軌道だが魔術砲は飛距離がまず違う。

飛距離も威力もほぼ大砲だ。


大砲と違うのは着弾するタイミングで爆発する事だろう。



逃げ惑う暇もなく宇都宮の騎馬隊がバダバタと倒れて行く。

三國方に向け飛び出した騎馬兵も居たが

統制の取れていない兵など強くも何ともない。





『これだ…箕輪ではこれにやられたのだ…』


まだ若い宇都宮広綱の頬に冷や汗が流れる。


広綱に取って一番頼れる家臣、芳賀高定は傍に居ない。

そもそもこんな予定では無かった。




『広綱様、鉄砲隊で乱射しましょう』



『おぉ…房興、任すぞ』



『ハッ…』



(あの爆発する矢は何なのだ…)



広綱は箕輪での戦から今日まで度々うなされていた。

何本か魔術砲の残骸を拾ってみたが 普通の矢であった。

普通の弓と普通の矢、それなのに あそこまで飛距離があるのもタイミング良く爆発するのも理由が分からなかった。



(今日ここで あの龍撃隊とやらを根絶やしにしないと安心して寝られぬ…)




前線の銃撃音が広綱の居る本陣まで響いて来た。


(死ね…死んでくれ…この乱射で全滅してくれ…)





しかし 広綱の願いも空しく

弾は龍撃隊まで届かなかった。




『魔術砲と同じ射程から鉄砲は届かないと思うんだけど敵は相当焦ってるのかねぇ?』


ここまで三國軍は魔術砲を放っているだけだ。

未だ 幸村、資正の部隊は本格的に動いては居ない。




『龍さん、僕がかき混ぜて来ましょうか?』


幸村の提案に龍は即決で乗っかる事にした。



龍が居る左列から見える敵の鉄砲隊に向け

龍撃隊が一人三射ずつ、命中箇所を散らす様に魔術砲を放つ。


敵の鉄砲隊に勿論犠牲は出たが、目的は戦場に土煙を多く上げる事だ。



その土煙の中に幸村率いる騎馬隊が突入して行く。


土煙が風に吹き流され消えて行く頃には幸村隊はその場から離れ味方の陣に戻って来ていた。



三國方へ向けて射撃していた鉄砲隊は幸村隊の攻撃により ほぼ壊滅状態なのが見える。




『そろそろ行ってみようか…』


龍はそう呟くと 鏑矢を3本続けて上空に放った。

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