給仕と大将
登場人物の詳しい紹介はのちのち書いていきます
王都に勤めるジャン、オーバル、ガードの3人は足繁く店に通っていた。なにせビールが王都のどの酒場より美味いからだ。焼き鳥なるツマミもビールに合い仕事の疲れを吹っ飛ばしてくれる。
そんな違和感だらけの店にも常連が出来つつある。
・毎日必ずいるカウンター奥に座る男
・王国騎士団の3人
・極室執政官の極長
特に王国騎士団の噂の流れが早く美人の給仕目当てもあるが瞬く間に流行りだす
いつしか「焼き鳥『華始羽』」は王国騎士団で満席になるほどだった。
当然、2人で切り盛りするには人手が足らずにジャンやガードが手伝う形になっていた。これはそんな華始羽の閉店直前のお話。
「ワインのお代わりを貰おう」
カウンター奥の男はマイペースで飲み食いを続けている。
極室執政官の極長はもうおかえりになった
「ジャンさんもガードさんもお疲れー、これは当店からのサービス」
「嬉しいねぇりんごちゃん」
「ありがとうございます」
一気に飲み干すキンキンに冷えたビールが2人の最高のご褒美だった
「しかしあれよ、いっつも冷えてるけどこれ氷系の魔法でも使ってんの?」
「マホウ?そんなのつかえないよ、アタシがビールサーバーから注ぐだけ〜」
「びーるさあばってなんですか?」
ビールサーバー、こちらの世界にはない物。当然疑問も出る。
「なんて言えばいいのかなぁ・・・イッチー助けて〜」
「まぁ簡単に言えば魔導具です、この店の秘密の一つなんであんまり触れ回るのはゴメンですね」
「それならしかたないか〜」
手伝いをしたおかげもありジャンとガードは大将と給仕の娘とも仲良く会話するようになった
「てか、ジャンさんもガードさんも他の騎士団の人に言っといて。アタシのことみんな見過ぎ〜って」
「了解 頑張ってみるよ」
「りんごさんが可愛いからですよ、釘付けになるのもわかります」
「ガードさんそれって「僕も見てます」アピールだかんね。女の子はそーゆー視線には敏感なんだから」
「・・・ああっ!?すいません」
給仕の女の子は畑宮 りんご、17歳にしてバスト117の持ち主で美人。さらに小麦色の肌もあり男性人気が非常に高い
店の主は的場 惣一郎 今年で46歳になる元・サラリーマンだ。しかし焼き鳥と鶏肉料理に対してはとてつもない知識量で腕前も超一流。
「でもさりんごちゃん、そんなビッチみたいな格好してるから皆釘付けになっちゃうと思うのよ」
「ちょ!アタシはビッチじゃないんですけど~!」
顔を真っ赤にして怒るりんご 胸を張るが豊満なバストがたゆんと揺れる。思わず見とれるジャンとガード。
「また見てる~!」
そんな会話を聞いてクックッと笑う惣一郎、だが焼き鳥を焼くては止めない。
「りんごちゃん、賄い出来るよ」
「わーい!イッチーの賄いはめっちゃ美味しいからいつも楽しみにしてんの~」
さっきまで怒っていたりんごも賄いの出現にぱぁ~っと明るくなる
「今日はかしわ天丼だよ」
「・・・かしわ天丼・・・聞いたことがない 店主それを貰おう」
「レオニードさんも気になりますか?少々お待ちください」
カウンター奥の男はヴァルツ・レオニード・アルカード、その正体は謎。だが焼き鳥『華始羽』にハマり毎晩のように通っている
「ジャンさんとガードさんにもお出ししますんで、少々お待ちください」
「マジかタイショー!?」
「いただきます!」
立ち込める油と肉の揚がる匂い、香辛料入りのタレの甘辛な香り 思わず涎もでる
「うっま~やっぱイッチーのかしわ天丼サイコー!!」
りんごの称賛の声が店内に響いた