魔法を使ってみようかな
はぁ、どうしてこうなったんだろう。
チュートリアルでミスを連発しまくるなんて聞いたことないよ。
手に持っている剣を見ながらそう思いつつ、僕はレイラさんの後ろを歩いていた。
次にやるのはどうやら戦闘についてということらしく、今からこの城の外に出ようしているが先ほどのことのせいでテンションがかなり下がっている。
本当にこのチュートリアルだけで疲れたような気さえするのだ。
そんな僕の心情を知らないレイラさんはさっさと前を歩いていき、とうとう城の外までやってきた。
そしてそのまま城で管理しているのであろう演習場までやってきた。
「それではやりましょうか」
「はい」
ということでレイラさんの魔法講座が始まった。
「まず、メニュー画面から魔法の書を開いてください。
そこにはたぶん最初から一つの魔法が記されているはずですので、その魔法の書に書いてある呪文をまず読んでください。
そして魔法の発動にはイメージが必要です。
どういった発動の仕方をするのかというのを決めないといけないためです。
なので集中してイメージしながら詠唱してください。」
そう言われて僕はその魔法の書に書いてあった呪文を何度か読んで覚えると、魔法の書に描かれていた魔法のイメージとなる絵を見て、その通り行おうとまず右手を前に出してイメージして詠唱。
「水よ、球となりて敵を撃て、ウォーターボール」
そして例えるならサッカーボールくらいの大きさの水の球が僕が描いていた通りの速さと軌道で前にあった樹木に当たった。
「おお」
普通にすごく思っていたようなちゃんとした魔法だったので関心しつつ、更に発動の仕方なども本格的でかなりいい感じだと思った。
「さすがですね、マヤ様。
私は精霊加護を受けてませんので魔法は使えないのですごく羨ましいです。」
そしてそんなことをレイラさんから言われて僕は苦笑いしてしまう。
でも確かに羨ましいと思う。
普通に考えれば、プレイヤーはいろいろな得点を持っているからこそプレイヤーとなりえるかもしれないが、このようにリアルにより近いゲームで、更に自分の作った分身体のようなキャラクターを自分の感覚通りに動かせるというゲームが存在していて、人格は持っているNPCが同じ容姿だが精霊に召還されたという特殊な状況のおかげで魔法を扱える僕たちのような存在がいれば羨ましいと思う。
もし僕がこの世界のNPCだとすればだけどね。
って、今は魔法を教わっているんだった。
あれ、でも他の魔法をゲットするにはどうするのだろうか?
そう思って質問をしようとする前に、レイラさんが何かを思いだしたようにこちらを見ると言う。
「あ、他の魔法の書を獲得するにはダンジョンと呼ばれる、洞窟や遺跡といった建物に探索に行くか、クエストと呼ばれるものの報酬によってもらえますよ」
「そっか」
なかなかにそこもしっかりした仕様になっているようだ。
でも今更ながらにこのゲームはすごいとしか言えないものになっている。
思考を持っているNPCに対してそれと分けるためにプレイヤーにはしっかりとした役割を持たせている。
まるでファンタジー世界の中に僕たちのような異物が入り込んだみたいだと思うのは考えすぎだろうか?
まぁ、とりあえずシステム的なところを考えるよりも先にこれからのことを考えないとね。
そう思った僕はメニュー画面を開いた。