やってしまった武器選択
うー……
暗いこと考えすぎでしょ……
そう思って涙を拭いた僕は楽しいことを考えることにした。
例えばそう、これから教えてもらう魔法の使い方とかね。
そう精霊とか魔法とかの話しを聞いてこの世界はFだといわれていたので、そう考えるとここはファンタジー世界ということになると思う。
そんなファンタジー世界の魔法……
よくあるものならこうバーっとすごい感じの範囲魔法ができるはずだ。
もしもちょっとした現象を変える魔法だったら最悪だ。
ちょっとした物を動かす魔法とかだったら最悪だ。
地味すぎて戦闘にすらならなさそう。
そう思っているととうとう一つの話しが終わって、立ち上がった。
「それでは魔法のことと戦闘のことについて説明しますね。
なのでとりあえず最初は武器を選びに行きましょうか」
「武器を選びに行く?」
「はい、先程も説明した通りマヤ様はこの王国の王女様なのです。
そのマヤ様が使う武器となればそれなりのものではないといけません。
なのでここにある国の武器庫から武器を選んでいただかないといけません」
「そうなの?」
「そうですよ」
そ、そんなちょっとチートじゃないかな……
そこでもし最強の武器なんかをゲットなんてしてしまった日には、ゲームというものが面白くなくなってしまうのではないのか?
そんな曲解に曲解を重ねたような思考を頭の中に浮かべながらもレイラさんに連れられるようにして武器庫と書かれた部屋の前に来ていた。
「どうぞ中へ」
そして案内されるままにその部屋の中に入るとそこにはいろいろな武器と呼ばれるものがあった。
例えば僕よりも大きな大剣とかはたまたムチのようなものや、弓に大きな鈍器と思われる金棒なんかもある。
「おおー」
それらを見ながら感嘆の声を上げながらも一つ一つ吟味していく。
どれが僕にあっているのだろうか?
そう思って見ていると一つ気になる武器を見つけた。
それは両刃剣と呼ばれる部類の武器で、かなり使い方が難しいが使い方をマスターすれば連続攻撃がかなりしやすくなるもので、それにかっこいいのも一つの利点でもある。
綺麗に研がれた刀身などを見る限り、かなりちゃんとした代物に見えた。
よしこれに決めた。
僕はそう思ってその両刃剣に手を伸ばそうとしたところで、自分の不注意に気がついた。
その両刃剣の前に何本かの剣が地べたに置いてあったのだ。
「あ……」
だけどそれに気づいた時には既に遅く既に手を伸ばそうとしていたために体の前に体重はかかり、なおかつ今更ながら気がついたが僕が今履いているのは靴というよりもブーツといった類のもので踵が少し高くなっているものだった。
そのため変な態勢になるとバランスを崩してしまうのが容易かった。
そして僕はそのまま前に倒れた。
「うにゃー……」
そして意味のわからない奇声を上げながら剣の群れに突っ込んでその手にとある剣を握っていた。
そこにあったのは普通の片手剣にも見えるけれど少し禍々しい刀身の形をしているものだった。
それに漆黒の刀身がギラリと輝いているので更にその恐怖を引き立てたことは間違いない。
だけどなんとなくその刀身に魅入られた僕はその剣を握ったところで近くにレイラさんが寄って来て一言
「あ、それに決めたのですね。」
と言ったところで目の前にあった両刃剣ではなくこの禍々しい剣を握っている事実を確認して、その剣を落とした。
あ、武器間違ったー……
そうして僕は更に使ったこともない武器を入手してしまったのだった。