二人の心を聞いて
話しが終わって二人でシズエたちの教会の前辺りに戻ると、そこでは二人が何か話していた。
「えっと、この紙に書かれているのが本当にマヤだというのならマヤって王女様っていうことなの?」
「そ、そういうことだよね。
マヤやん……マヤさんが王女様なんだね」
「どうしたのシズエ、なんだか口調がおかしいよ」
「ふぇ?
だってマヤやんが王女様って考えたらなんだか緊張してきて……
それにエリリンだって表情がいつもより硬くなってるよ」
「それはだって……」
二人の会話を盗み聞いたというわけではなくて、聞こえてきたものだけど、僕は二人の元に駆け寄ることができない。
そうだって結局のところ、ここで迷惑をかけてしまっているのは僕なのだ。
それなのにその張本人がのこのことまた戻ってくるというのはどうだ?
普通に考えればありえないことだ。
だって僕がいなければ二人が巻き込まれるということすらなかった。
そう考えるとどうしても二人の前に行けない。
そう思っているとまた、二人の会話が聞こえてくる。
「でも、王女様っていうのをなんであたしたちに言ってくれなかったんだろう?」
「そんなのわかっていることでしょ。
あんまり知られたくないことなんでしょ」
「え、なんで?」
「そんなの、知っているっていうだけで私とシズエに危害が及ぶかもしれないからでしょ。
そんなの、私なら気にしないことだけど、マヤってなんだかそういうの言い出せそうにないでしょ」
「それはそうだね。
あたしにだって言えないことだってあるんだし……」
「そうだよ。
だからマヤには戻ってきたら王女様っていうことを黙っていたこと怒るよりも、狙われてるマヤをどうするかを考えないと」
「うん、わかってる。
それに別に王女様とか、そういうのは称号で決まってるただの事柄なんだから気にしないよ。
だって今一緒に冒険してるのがマヤやんだからね」
「うん、そうだね」
そっか……
二人がそんなことを考えてくれていたなんて思わなかった。
僕のことを考えてくれているなんて……
「さぁ、行きますよ。
みんな待っているからね」
「うん……」
そして僕は二人の元に戻った。
二人に何かできるように。
そう思って……