この戦いには①
僕は慌てて小屋から飛び出て、小屋の近くにあった木材の近くに腰をおろす。
何が起きているんだ?
そう思ったとき小屋の中から何人かの鎧を着た兵士のような身なりをした者たちが意気揚々と現れた。
「ほんとに現れたようですね、王女様」
「ああ、どうやらあいつの情報通りだったな」
「よし、はやく生け捕りにするぞ」
そしてすぐさま三人くらいの男たちが廃れた街の方に向かった。
だけど、小屋の中ではまだ二人ほどの話し声が聞こえた。
「あの、俺は何をすればよろしいのでしょうか?」
「ああ、お前新入りか?
何ってさっきの会話を聞いてなかったのか?
捕まえるんだよ、この紙に書いてある女をな」
「え?
でもそれは、俺たちがやることではないんじゃないですか?」
「馬鹿野郎……
そこは気にしなくていんだよ、俺たちはただ命令に従って行動すればいいだけなんだからよ。
さぁ、行くぞ」
「はい、わかりました」
そしてすぐにその二人も小屋から走り出して行った。
「なんとか行ったみたいだ。
でも兵士まで出てくるなんて……」
そう僕を捕まえるためにとうとう兵士が出てきたのだ。
何のために捕まえるのか理由はわからないけれど、これは一大事だ。
それにもう兵士が出てきた以上、このままではいられない。
もしもここの住人が僕と同じ部屋にいた人たちのことを話してしまえばあの三人に危害が及ぶのは目に見えていたし、それにエリンとシズエはまだ冒険者だから最悪死に戻りというものが使うことができるけれど、レイラさんはそれが無理だ。
そう考えたら体が勝手に動いた。
すぐに地面を踏みしめた。
敵の数はわかっていた。
そう全員で五人だ。
ちなみに隠れながら見ていたところ正直一番厄介そうなのは最後に走り去って行った、新人のような人に声をかけていた人物だ。
まずは住民に見つからないようにしながら家の影に隠れるようにして進む。
流石に僕は一人で多数を相手をするというのは難しい。
特にこのゲームにおいてはNPCと呼ばれる人たちですら、知能というものを持っている。
だからこそ対人戦は特に注意しないといけない。
それが一人との戦いであってもだ。
そして更にたくさんの、それも軍隊のような人物と戦うにあたっては多数の人物と戦うのは特に避けたい。
そこまで考えて行動をしているのに……
なんでこうなった?
そう住民に見つからないようにして、敵を見つけるはずだったのに、目の前には住人がいた。
それも少女だ。
見つかったというよりも見つかりに行った。
それはこの子が必死に僕のことを探していたからだ。
泣きながら探しているというくらいならば気にもとめなかっただろう。
だけれど服が泥だらけで膝にもこけた時についたのであろう擦り傷が幾つかあった。
だからその少女の話しを聞いてみようとして前に出てきてしまった。
「あのね、王女様……
ミレーネのね、妹を助けてほしいの!」
「え?
どういうこと?」
ほんとはどんな話しでもそれなりに言葉を返すつもりだったけれど、僕はその言葉に思わず驚いた。
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